雇用条件書(参考様式1-6)は、欄ごとにこう書く
雇用条件書は、入管庁の参考様式第1-6号を使い、本人の署名と、本人が十分に理解できる言語での記載をそろえて出します(提出書類一覧表 第1表、令和8年10月1日改定)。
申請書類の中で、いちばん先に固める書類です。ここで決めた月給・労働時間・休日・寮費が、報酬に関する説明書や申請書にそのまま出てきます。
この記事は、特定技能外国人を雇う会社で、はじめて雇用条件書を書く人に向けたものです。書類の書き方シリーズの2回目です。
参考様式を使うのが、いちばん確実です
参考様式は、使わなくてもかまいません。ただ、様式の冒頭には、ほかの書式を使う場合に在留諸申請に必要な項目が書かれていなければ修正を求めることがある、という注意書きがあります。自社の書式を使うより、参考様式に書き込むほうが早く確実です。
様式は入管庁の様式一覧🔗 出入国在留管理庁のページにあります。雇用条件書は、雇用契約書(参考様式第1-5号)と合わせて使う作りです。英語のほかミャンマー語など9か国語の翻訳様式も同じページにあるので、本人の言語の版と日本語の版を並べて作ります。
「十分に理解できる言語」は、母国語に限られません(特定技能運用要領、令和8年8月)。大切なのは、本人が内容を理解したうえで署名していることです。
1ページ目:誰と、いつから、どこで、何の仕事を
1ページ目には、宛名・会社・契約期間・就業の場所・仕事の中身・始業と終業の時刻を書きます。

迷いやすいのは3か所です。
就業の場所は、雇い入れた直後の場所と、将来変わりうる「変更の範囲」の両方を書きます。働く場所が複数あるときは、主な場所を明記したうえで、すべて書きます。派遣で雇えるのは農業と漁業の分野だけです。
分野と業務区分は、分野別の運用要領に載っている名前のとおりに書きます。様式は入管庁の様式ページ(特定技能関係の申請・届出様式一覧)の最新版を使います。ただ、そこに載っている記載例も、例の日付は2019年のままで、分野名も当時の「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」になっています。今の提出書類一覧表では「工業製品製造業」です。記載例の文字を写さないでください。
入国予定日は、すでに日本にいる人(技能実習から移る人など)は書かなくてよい、と記載例に注記があります。
2ページ目:時間・休み・賃金は、カレンダーと足し算が合うように
2ページ目には、休憩・所定労働時間・休日・休暇・賃金・退職の決まりを書きます。

所定労働時間は、会社でフルタイムで働く人と同じでなければなりません。運用要領では、フルタイムを原則として週5日以上かつ年217日以上、週30時間以上としています。
1年単位の変形労働時間制をとっている会社は、本人が理解できる言語を併記した年間カレンダーの写しと、労働基準監督署に届け出た協定書の写しも付けます。
一時帰国休暇の欄は、必ず埋めます。本人が一時帰国を希望したときに休暇を取れるようにすることは、特定技能の基準の1つです。
割増賃金率は、法律の最低(時間外25%、月60時間を超える部分50%、法定休日35%、深夜25%)を下回らないように書きます。
3ページ目には、健康診断の時期、待遇の違いについて説明を求められる窓口、相談窓口、契約終了後の帰国旅費の取り扱いを書く欄があります。窓口は部署名と担当者まで書きます。
別紙「賃金の支払」は、引き算で手取りを見せる書類です
別紙は、額面から何がいくら引かれ、手元にいくら残るかを本人に示すための書類です。記載例の欄外にも「どのような項目でどのくらいの額が賃金から控除されるのかを申請人に説明していただくために、記載する項目です」とあります。

寮費や水道光熱費を引くときは、額の決め方に決まりがあります。借上げの寮なら、家賃(管理費・共益費を含む)を入居する人数で割った額以内です。敷金・礼金・仲介手数料などは本人に負担させられません(特定技能運用要領、令和8年8月)。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、別紙の控除と手取りの額を、内定の段階で本人の言語で見せることをおすすめしています。来日後に「思っていた手取りと違う」となるのを防げるからです。
記入例:架空の食品工場の場合
数字はすべて当組合が作った架空の例です。会社名と本人名は、入管庁の記載例と同じ架空の名前を使っています。
| 欄 | 書く内容の例(架空) | 確かめること |
|---|---|---|
| 宛名 | KOU OTUHEI 殿 | 在留カード(無ければ旅券)と同じつづり |
| Ⅰ 雇用契約期間 | 2027年4月1日〜2028年3月31日、入国予定日 2027年3月28日 | 入国予定日は開始日より前。日本にいる人は不要 |
| Ⅰ 契約の更新 | 更新する場合があり得る(判断基準:勤務成績・態度、会社の経営状況に印) | 判断基準の欄にも印を付ける |
| Ⅱ 就業の場所 | 直接雇用/本社工場(○○県○○市)/変更の範囲:変更の可能性なし | 複数あればすべて書く |
| Ⅲ 業務 | 分野:飲食料品製造業/業務区分:分野別運用要領の表記どおり | 記載例の古い分野名を写さない |
| Ⅳ 労働時間 | 始業8時30分・終業17時30分、休憩60分、1日8時間 | 変形制なら年間カレンダーを付ける |
| Ⅳ 所定労働時間・日数 | 週40時間・月163時間20分・年1,960時間/週5日・月平均20.4日・年245日 | 年間労働日245日+年間休日120日=365日 |
| Ⅴ 休日 | 土・日、国民の祝日、夏季・年末年始(年間合計120日) | 会社カレンダーと一致させる |
| Ⅵ 休暇 | 年次有給休暇:6か月継続勤務で10日/一時帰国休暇の条文 | 一時帰国の欄を空けない |
| Ⅶ 賃金 | 月給220,000円、皆勤手当5,000円、割増率 25・50・35・25%、毎月末日締め・毎月25日払い、口座振込 | 1時間あたりの額が最低賃金以上か |
| Ⅶ 控除 | 有(別紙のとおり) | 寮費などを引くなら労使協定が要る |
| Ⅸ 保険 | 厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険 | 加入の手続きと合っているか |
1時間あたりの額は、月給を月平均の所定労働時間で割って出します。この例では220,000円÷163.3時間で、約1,347円です。最低賃金は県ごとに違い、毎年改定されます。就業する県の、その時点の最低賃金と比べてください。
受け入れ企業がすること
雇用条件を決め、本人の言語で説明して署名をもらうのは会社です。中身を変えたら14日以内に届け出ます。当組合(MOOZ)とグループの登録支援機関 株式会社NADyは、必要書類のご案内と記入内容の確認をお手伝いします。
受け入れ前から終わるときまでの会社の義務は、特定技能で受け入れ企業がすることにまとめています。
よくある間違い
雇用条件書でつまずきやすいのは、次の点です。
- 記載例の数字や分野名をそのまま残している(記載例の月給180,000円は2019年の日付の例です)
- 年間休日と所定労働日数の足し算が合わない
- 一時帰国休暇の欄が空いている
- 日本語版と本人の言語の版で、数字が違う
- 本人の署名がない、または日付が雇用契約書と食い違う
- 雇用条件書を直したのに、報酬に関する説明書や申請書の金額を直していない
出す前のチェックリスト
- □ 最新の参考様式第1-6号を、様式一覧から取り直したか
- □ 本人が理解できる言語の版を付け、本人が署名したか
- □ 分野と業務区分は、分野別運用要領の表記どおりか
- □ 所定労働時間・日数・年間休日の数字が、互いに合っているか
- □ 1時間あたりの額が、就業する県の最低賃金以上か
- □ 別紙の控除(寮費・水道光熱費)は、実費に見合う額か
次の回は、この雇用条件書の月給を使って書く「報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)」です。
書類全体の順番は、シリーズ1回目にまとめています。
自社の就業規則や寮の条件で雇用条件書をどう書けばよいか迷ったら、当組合にご相談ください。業種、受け入れたい人数、寮の有無と家賃が分かれば、必要書類のご案内と手続きのサポートの進め方をお伝えできます。特定技能の支援は、グループの登録支援機関 株式会社NADyが担当しています。