特定技能で受け入れ企業がすること、時系列で全部
特定技能で外国人を受け入れる会社(特定技能所属機関)には、受け入れ前から終わるときまで、自分でしなければならないことがあります。支援を登録支援機関に全部委託しても、会社の義務はなくなりません。
この記事は、受け入れ企業の担当者に向けて、それを時系列で1本にまとめたものです。根拠は特定技能運用要領(令和8年8月、出入国在留管理庁)と、入管庁の様式・記載例です。書類の書き方シリーズでは、全体像(第1回)の次に読んでほしい回です。

受け入れ前:会社が基準を満たしているか
特定技能所属機関には、満たすべき基準があります。申請書の「所属機関等作成用」に「有・無」で答える項目が、そのまま確認の目安になります。
- 労働・社会保険・税に関する法令に違反していない
- 雇用契約を結ぶ日の前1年以内に、同じ業務の労働者を会社の都合で辞めさせていない(非自発的離職)
- 前1年以内に、会社の責任で行方不明者を出していない
- 役員などが欠格事由(一定の刑罰、5年以内の出入国・労働法令に関する不正行為など)に当たらない
- 保証金を取ったり、違約金を定めたりする契約をしていない
分野ごとの協議会への加入も必要です。分野の誓約書(分野参考様式)に書かれた事項も守ります。
支援を自社で行うか、登録支援機関に全部委託するかも、ここで決めます。自社で行うなら、支援責任者と支援担当者を選び、支援できる体制を示します(2027年4月1日から支援体制の要件が改正されます。入管庁 🔗 出入国在留管理庁のページ )。
申請のとき:雇用条件を決め、本人に説明する
雇用条件は、運用要領が求める次の点を満たすように決めます。
- 報酬は、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上
- 所定労働時間は、会社のフルタイムの人と同等(原則、週5日以上かつ年217日以上、週30時間以上)
- 本人が一時帰国を希望したら、必要な有給休暇を取れるようにする
- 雇用契約が終わって本人が帰国旅費を払えないときは、会社が負担する
- 外国人であることを理由に、報酬・教育訓練・福利厚生で差をつけない
雇用契約書・雇用条件書・支援計画書などは、本人が十分に理解できる言語で説明し、本人の署名をもらいます。事前ガイダンスは、在留諸申請の前に行います。健康診断の段取り、役所の証明書の取り寄せ、事業所と住居の市町村への協力確認書の提出も、会社の仕事です。
入国・働き始め:支援と、報酬の払い方
入国(または在留資格の変更)のあとは、生活オリエンテーション、住居の確保、銀行口座・携帯電話の手続などの支援を行います。全部委託していれば、登録支援機関が行います。
在留資格の許可を受けた日から1か月以内に働き始めます。1か月を過ぎても働き始められないときは、受入れ困難の届出が必要になります。
報酬は、本人が指定する口座への振込など、実際に払った額を確かめられる方法で払います。支援にかかる費用を、本人に負担させてはいけません。
毎年・ふだん:定期届出と記録
定期届出(参考様式第3-6号)を、毎年4月1日〜5月31日に出します。前年度に1日でも受け入れていれば対象です。
支援として、本人と監督する立場の人それぞれと、3か月に1回以上の定期面談を行います。面談で法令違反を知ったら、労働基準監督署や地方出入国在留管理局に通報します。
本人の活動の内容に関する文書(名簿、活動状況の帳簿など)を作り、本人が働く事業所に、雇用契約が終わってから1年以上備えて置きます。自社で支援する場合は、支援の状況の文書も同じです。
変わるとき・終わるとき:14日以内の届出
次のときは、事由が生じた日から14日以内に届け出ます(電子届出システムか、地方出入国在留管理局へ)。
- 雇用契約を変えた・終えた・新しく結んだ(参考様式第3-1-1号・第3-1-2号)
- 支援計画を変えた(第3-2号)
- 支援委託契約を変えた・終えた・新しく結んだ(第3-3-1号・第3-3-2号)
- 受入れが困難になった(第3-4号。経営上の都合による解雇の予告、行方不明、1か月以上働けない事情など)
- 基準に合わなくなった(第3-5号)
会社の都合で雇用契約を解除するときは、本人が特定技能の活動を続けられるよう転職支援を行います。在留期間の満了が近づいたら、更新の申請を準備します。
様式の図解:どこに何を書くか

- 第2表は受け入れ企業(所属機関)に関する書類。法人・個人事業主などで表が分かれる
- 同じ年度内にすでに特定技能外国人を受け入れている会社は、第2表の書類は提出不要
- 列:番号・必要書類・様式番号・提出の要否・留意事項・提出確認欄
- 1 特定技能所属機関概要書(1-11-1)
- 2 自社で支援する場合の体制の書類(1-11-2・1-11-3・支援責任者と担当者の履歴書)。全部委託なら不要
出典:出入国在留管理庁「提出書類一覧表 第2表の2(特定技能1号・法人)」🔗 出入国在留管理庁のページをPDFにして加工して作成
チェックリスト:受け入れ企業の1年
- □ 協議会に加入している
- □ 雇用条件は日本人と同等以上で、本人の言語で説明し署名をもらった
- □ 支援を自社で行うか全部委託するかを決め、支援計画どおりに実施している
- □ 定期届出を毎年4月1日〜5月31日に出している
- □ 変更・終了・受入れ困難のときに14日以内に届け出ている
- □ 活動の内容の文書を、契約終了から1年以上備えて置いている
当組合とNADyが手伝えること
当組合(MOOZ)とグループの登録支援機関 株式会社NADyができるのは、必要書類のご案内、記入内容とほかの書類との突き合わせ、手続きのサポートです。NADyに支援を全部委託した場合は、支援計画に基づく支援をNADyが行い、その状況を会社と共有します。
それでも、届出を出すこと、雇用条件を守ること、記録を備えて置くことは、会社の義務です。
書類ごとの書き方は、シリーズの各回にまとめています。
特定技能の受け入れで、会社として何を準備すればよいか確かめたいときは、当組合にご相談ください。業種、受け入れたい人数、支援を委託するか自社で行うかが分かれば、具体的にご案内できます。