上限80万円の助成金、10月の改正前に動くなら今週

上限80万円の助成金、10月の改正前に動くなら今週

外国人を雇っている会社が使える国の助成金が、まもなく縮小されます。人材確保等支援助成金の「外国人労働者就労環境整備助成コース」で、今は1つの措置につき20万円、上限80万円が支給されます。厚生労働省が2026年8月15日から9月13日まで意見募集にかけた雇用保険法施行規則の改正案では、この支給額が合計最大25万円に改められます。省令は2026年10月中に公布され、公布の日から施行される予定です。

ただし、改正前に「就労環境整備計画」を都道府県労働局長へ提出した事業主には、これまでの要件と金額が適用されます。動くかどうかの判断は、今週です。

そもそも何に対して出るお金なのか

この助成金は、外国人を採用した人数に対して出るものではありません。外国人が働きやすい社内の仕組みを新しく作ったことに対して出ます。

厚生労働省の支給要領(令和8年4月1日改正)では、必須の措置が2つ決まっています。雇用労務責任者を選任すること、そして就業規則や安全衛生のルールなどを、働いている人の言語に訳すこと。そのうえで、苦情・相談を受ける体制を整える、一時帰国のための休暇制度を設ける、社内マニュアルを多言語化する、といった措置を選んで足していきます。1つ導入するごとに20万円、上限80万円という数え方です。

もう1つ条件があります。計画期間が終わってから一定期間後の外国人労働者の離職率が15%以下であること。仕組みを作っただけでは支給されず、人が残っていることまで見られます。

この記事のポイント

改正案では、いくらになるのか

意見募集にかけられた改正案では、必須の2措置を実施して20万円、一時帰国休暇制度を追加で実施してさらに5万円、合計最大25万円という定額の考え方に変わります。上限だけを比べると80万円と25万円で、差は55万円です。

支給額以外にも見直しが案に含まれていますが、確定するのは省令が公布されてからです。現時点で断定できるのは、支給額を見直す方向であることと、経過措置が置かれることの2点になります。最新の内容は厚生労働省の公表資料でご確認ください。

MOOZ事業協同組合

いつから変わる? 実は日付が決まっていない

ここが一番間違えやすいところです。「10月1日から改正」と書かれた解説をいくつか見かけましたが、改正案の施行期日は公布の日からで、公布は「2026年10月中」とされているだけです。10月1日かもしれませんし、10月中旬かもしれません。

経過措置の書き方は「施行前に就労環境整備計画を提出した事業主については、なお従前の例による」というものです。提出した日が施行日より前かどうかで、80万円の世界と25万円の世界に分かれます。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、この点について「10月上旬まで様子を見る」ではなく「9月中に出す」とご案内しています。公布日が前倒しになる可能性はまずありませんが、後ろ倒しを当て込んで待つ理由もないためです。計画の提出先は都道府県労働局です。

人数が多い受け入れ先ほど、効き方が違う

この助成金は、外国人が1人の会社でも10人の会社でも、措置1つあたりの金額は同じです。裏を返せば、人数が多いほど1回の手間で効く範囲が広くなります。

就業規則の多言語化は特にそうです。今月、兵庫県の食品工場(そう菜加工・女性5名)を訪問しました。全員が2024年8月の入国ですが、日本語力はN2からN4まで幅があります。同じ時期に来て、同じ職場で2年働いても、読める文書のレベルはここまで差がつきます。日本語の説明で全員に伝わっていると考えるのは無理があり、母語で読める就業規則があるかどうかは、実務としてそのまま効いてきます。

シフトや残業の決まり、寮のルール、けがをしたときの連絡先。この種の文書を一度きちんと訳しておくと、次に受け入れる人にもそのまま使えます。助成金はその初期費用を国が持ってくれる、という位置づけで見ると判断しやすくなります。

今週やること

外国人をすでに雇っていて、雇用保険の適用事業所であれば、検討の余地があります。判断の材料は3つです。

雇用労務責任者を誰にするか。就業規則をどの言語に訳すか。一時帰国休暇の制度を就業規則に入れるかどうか。この3つが決まれば、計画の中身はほぼ固まります。あとは労働局に提出するだけで、経過措置の側に入れます。

なお、助成金の申請手続きそのものは社会保険労務士の領域です。当組合は代わりに手続きをする立場ではありませんので、顧問社労士がいらっしゃる会社は今週中に一報を入れてください。いない場合も、労働局の助成金窓口で計画書の様式は受け取れます。

一方で、「どの文書を訳しておくべきか」「相談体制をどう作ると実習生が実際に使うか」は、現場を見ていないと決められない部分です。訳しても読まれない文書を作ってしまう会社を何件か見てきました。この部分については、受け入れ人数や在留資格の内訳をうかがえれば、優先順位のつけ方を具体的にお伝えできます。

MOOZ事業協同組合は三重県津市にあり、東海地方を中心にミャンマー人材の受け入れをお手伝いしています。食品製造・介護・宿泊など、一度に複数名を受け入れる現場のご相談が多い組合です。受け入れは2名から対応しています。

ご相談は https://mooz-gr.jp から。今回の助成金については、計画書の提出期限が実質的に今週末であることだけ、先にお伝えしておきます。