育成就労の雇用契約書及び雇用条件書(1-2)、技能実習との違い
育成就労の雇用契約書及び雇用条件書(外国人技能実習機構の参考様式第1-2号)は、記載例が公表されています(OTIT「育成就労計画認定施行日前申請」のページ、2026年10月9日確認)。
技能実習の第1-14号とよく似た形ですが、育成就労ならではの欄が加わっています。この記事は、2027年4月以降に育成就労で受け入れる会社の担当者に向けたものです。育成就労は施行前の制度で、現時点の情報で書いています。育成就労の書類の書き方シリーズの3回目です。

記載例の注記で大事な点
記載例には、欄ごとに注記が付いています。新人がまず押さえたいのは次の点です。
- 育成就労外国人が十分に理解できる言語を併記する
- 育成就労実施者か監理支援機関は、雇用契約の業務内容・労働条件などを、育成就労外国人になろうとする人に対面かオンラインで直接説明する
- 雇用契約期間の始期は、入国後講習が終わって就労を始める日から。入国日や入国後講習の開始日を始期にはできない
- 「自動的に更新する」を選んだ場合は、更新上限の有無にも印を付け、有なら内容を書く
- 「変更の範囲」は必ず書く。変更の予定がなければ「変更なし」「雇い入れ直後と同じ」などと書く
技能実習の様式(1-14)との違い
様式の中身を技能実習の第1-14号と比べると、次の欄が違います。
- Ⅲの業務は、「育成就労産業分野及び業務区分」で書く。必須業務の内容を実際に変える場合は軽微変更届出
- Ⅵの休暇に、一時帰国休暇の欄がある(本人が希望したら、有給休暇などの範囲で休暇を取らせる)
- Ⅶの賃金に、月給・日給・時給それぞれの1時間当たり・1か月当たりの計算方法が書いてある
- 昇給の欄に、1年を超える転籍制限期間を定めているかと、その場合の待遇向上の内容を書く欄がある
- Ⅹとして、入国後講習中の宿泊施設と待遇の欄があり、本人の負担があれば同等以上の講習手当を払うかを書く
- 社会保険の欄に、厚生年金保険・健康保険の適用事業所かどうか(非適用なら理由)を書く欄がある
賃金・宿泊施設で守ること
記載例の注記によると、賃金は地域別最低賃金を上回る額で、特定(産業別)最低賃金があればどちらか高いほう以上を払います。預貯金口座に振り込むときは、そのことを本人に説明して同意を得ます。
1年を超える転籍制限期間を定めている場合は、分野別協議会が定める昇給率以上にします。寝室は、床の間・押入などを除いて原則1人当たり4.5㎡以上を確保します。食費・居住費などに本人の負担がある場合は、それと同等以上の講習手当を払います。
様式の図解:どこに何を書くか

- 当事者:育成就労実施者(甲)と育成就労外国人(乙)
- 契約の効力:在留資格の許可と入国後講習の修了を条件に、雇用契約期間の始期から
- 1 雇用契約期間(始期は入国後講習の終了後の就労開始日)と入国予定日
- 2 契約の更新の有無:「自動的に更新する」なら更新上限も
- 3 更新上限の有無
- Ⅱ 就業の場所と「変更の範囲」
- Ⅲ 従事すべき業務(分野・業務区分)と「変更の範囲」
出典:外国人技能実習機構「参考様式第1-2号 雇用契約書及び雇用条件書」記載例📄 外国人技能実習機構の資料(PDF)を加工して作成
記入例:育成就労ならではの欄(架空)
| 欄 | 書く内容の例(架空) | 確かめること |
|---|---|---|
| Ⅰ 雇用契約期間 | 2027年6月1日〜2030年5月31日(入国予定日 2027年4月20日) | 始期は入国後講習の終了後の就労開始日か |
| Ⅲ 分野・業務区分 | 分野別運用方針・運用要領の表記どおり | 計画と同じか |
| Ⅵ 一時帰国休暇 | 様式の文のとおり | ― |
| Ⅶ 1時間当たりの金額 | 月給 ÷ 1日の所定労働時間 ÷ 1か月の平均所定労働日数 | 最低賃金以上か |
| Ⅶ 転籍制限期間 | 1年を超える:有/待遇向上の内容を記載 | 協議会の昇給率以上か |
| Ⅹ 講習中の宿泊施設 | 寮の名称・所在地・規模、本人負担 月○,○○○円、同等以上の講習手当:有 | 講習手当の額 |
受け入れ企業がすること
労働条件を決め、本人に直接説明して署名をもらうのは会社(育成就労実施者)です。最低賃金・昇給率・講習手当の決まりを守ります。場所や必須業務を実際に変えるときは軽微変更届出が必要です。会社の義務の全体は、育成就労で受け入れ企業がすることにまとめています。当組合(MOOZ)は、公表資料に沿って必要書類のご案内をお手伝いします。
よくある間違い(記載例の注記から)
- 始期を入国日や入国後講習の開始日にしている
- 「変更の範囲」を空けている
- 変形労働時間制なのに協定書の写しを付けていない
- 保険の欄の印が漏れている
- 就業規則があるのに、確認できる場所や方法を書いていない
出す前のチェックリスト
- □ 本人が理解できる言語を併記し、直接説明したか
- □ 始期は入国後講習の終了後の就労開始日か
- □ 賃金は最低賃金(地域別・特定の高いほう)以上か
- □ 転籍制限期間が1年を超えるなら、待遇向上の内容を書いたか
- □ 入国後講習中の負担があれば、同等以上の講習手当を払うか
技能実習の雇用契約書及び雇用条件書(1-14)と比べたいときは、こちらです。
育成就労での受け入れを考えている会社は、当組合にご相談ください。業種、任せたい作業、受け入れたい人数と時期が分かれば、技能実習で今受け入れるか、育成就労を待つかの判断からご案内できます。