技能実習か特定技能か育成就労か、3つの質問で決まります
外国人材を現場に迎える方法は、2026年9月時点で3つあります。技能実習、特定技能、そして2027年4月1日に始まる育成就労です。
制度ごとの説明を並べて読み比べると、どうしても長くなります。けれど、ご相談を受けていると、実際に制度を決めているのは次の3つの質問への答えです。
- いつ現場に入ってほしいか
- 未経験の人を育てるか、経験者を採るか
- 何人入れたいか
この3つに答えられれば、どの制度を使うかはほぼ決まります。順に書きます。
いつ現場に入ってほしいか
いちばん先に決まるのが、ここです。
技能実習は、育成就労の開始とともに新規の受け入れが終わります。経過措置として、2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請を出し、2027年6月30日までに実習を始めれば、技能実習で受け入れられます(入管庁「育成就労制度Q&A」)。
ただし、外国人技能実習機構は、1号技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう求めています。審査と入国手続きにかかる時間を考えると、実際の締め切りは3月末ではなく2月末と見ておくほうが安全です。面接や書類の準備を逆算すると、今年の秋から年末に動き始める会社がいちばん余裕を持てます。
これに間に合わない、または配属は2027年の夏以降でよいという会社は、育成就労で受け入れることになります。育成就労計画の認定申請は、施行日前の申請として2026年9月1日から機構で受け付けが始まっています。
「技能実習で今入れるか、育成就労を待つか」は、いま当組合に寄せられる相談で一番多いものです。ただ、この質問の答えは制度の良し悪しより、人が必要な時期でほぼ決まってしまいます。2027年前半に人手が足りなくなる会社が、育成就労の開始を待つ理由はあまりありません。
特定技能は、この期限とは関係がありません。技能と日本語の試験に合格した人であれば、時期を問わず採用できます。

未経験の人を育てるか、経験者を採るか
特定技能1号は、分野ごとの技能試験と、日本語能力試験N4またはJFT-Basicの合格が在留資格の要件です。つまり、特定技能で働く人は、制度上かならず日本語の試験に合格しています。技能実習2号を良好に修了した人は、関連する分野であれば試験なしで特定技能1号に移れます。在留は通算5年までです。
一方、技能実習には日本語の法令要件がありません。だからこそ、入国前にどんな教育をしているかで、送り出し機関と監理団体の差がはっきり出ます。
当組合が提携するミャンマーの日本語学校では、『みんなの日本語 第二版』に会話の映像教材を組み合わせ、月ごとに成績表を出しています。この成績表では日本語だけでなく生活態度も評価され、進み具合は「会話は第1課、文法は第9課」という粒度で一人ずつ記録されています。受け入れ企業は、配属前に候補者の学習の様子を知ることができます。法令で求められていない部分ですが、未経験の人を受け入れるなら、ここを見て組合を選んでいただいてよいと考えています。
育成就労では、日本語の扱いが変わります。現時点の情報では、働き始めるまでに日本語A1相当の試験に合格するか、それに相当する講習を受けることが必要になり、3年間の育成の終わりにはA2相当(おおむねN4相当)の試験合格が目標とされています。A2相当の合格は、特定技能1号へ移るときの要件でもあります(厚生労働省「育成就労制度の概要」)。
未経験から育てる点では技能実習と同じですが、育成就労は最初から特定技能への移行を前提に組まれた制度です。

何人入れたいか
一度に多くの人数を受け入れたい工場や宿泊施設では、ここが計画を左右します。
技能実習と育成就労には、受け入れ企業の常勤職員の数に応じて人数の上限があります。10名、20名と考えている場合は、最初に常勤職員の数を確認してください。特定技能には原則として企業ごとの人数枠がありません(介護・建設など分野ごとの定めがあるものを除く)。
多人数の受け入れ先に当組合が案内しているのは、制度を1つに絞るのではなく順番に使う形です。技能実習や育成就労でまとめて受け入れ、寮とシフトを一度に組む。修了した人は特定技能1号へ移ってもらい、空いた枠で次の人を受け入れる。技能実習の修了者が特定技能に移れば、実習の人数枠はその分空きます。特定技能への移行後の支援は、グループ企業の株式会社NADy(登録支援機関)が担当します。
ひとつ付け加えると、育成就労では本人の希望による転籍が認められます。現時点の情報では、分野ごとに1〜2年の制限期間があり、その期間を過ぎて技能と日本語の要件を満たせば移れます(入管庁「育成就労制度Q&A」、同「本人意向による転籍の制限(案)」)。同じ寮で暮らす仲間どうしは、待遇を比べ合います。人数が多い現場ほど、制限期間が終わる時期に寮・シフト・手取りを近くの同業と比べておく必要があります。
費用は、業種・人数・入国時期で変わるため、ここでは金額を書きません。技能実習と育成就労では組合への月々の監理費と入国前後の費用、特定技能では支援を委託する場合の委託費がかかります。育成就労では、現時点の情報では、本人が送り出し機関に払う費用が月給の2か月分までに抑えられ、超える分は受け入れ企業などの負担になるとされています。見積もりを取るときは、この部分を分けて確認してください。育成就労の細かな運用は今後の政省令で変わる可能性があるため、入管庁の最新情報もあわせてご確認ください。
3つの答えを持ってご相談ください
「いつ」「未経験か経験者か」「何人か」に加えて、常勤職員の人数と、寮を何名分用意できるかが分かっていれば、1回目のご相談で使う制度と順番、費用の実額までお話しできます。まだ全部決まっていなくても構いません。技能実習の2月の締め切りに間に合うかどうかだけでも、早めに確かめておく価値があります。
MOOZ事業協同組合は、三重県津市のミャンマー人材専門の監理団体です。受け入れは2名から。食品製造(弁当・惣菜・水産加工)、介護、縫製・電子部品組立、宿泊・クリーニング、溶接・自動車部品の受け入れを、三重県・東海地方を中心にお手伝いしています。
https://mooz-gr.jp
出典
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
- 外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」 https://www.otit.go.jp/employment_for_skill_development/cat/index.html
- 外国人技能実習機構「技能実習計画の認定申請」 https://www.otit.go.jp/implementer/procedure/license/
- 厚生労働省「育成就労制度の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf
- 出入国在留管理庁「育成就労制度における本人意向による転籍の制限(案)について」 https://www.moj.go.jp/isa/content/001446838.pdf