最低賃金10月改定|県別の発効日と技能実習生の給与確認

最低賃金10月改定|県別の発効日と技能実習生の給与確認

結論:働く事業所がある県の「新しい額」と「発効日」で確認します

  • 最低賃金は、国籍や在留資格に関係なく、技能実習生にも特定技能の人にも適用されます。基準にするのは本社の所在地ではなく、実際に働く事業所の所在地です。
  • 発効日は県ごとに違います(10月1日・10月3日・11月1日など)。発効日以降に働いた分から、新しい額を下回らないようにします。
  • 月給制の人は時間額に換算して比べます。精皆勤手当・通勤手当・家族手当・残業代・賞与は計算に入れません。

三重県の改定については、同じ日の別記事で扱いました。この記事では、愛知・兵庫・香川・鳥取・愛媛など三重以外の県と、複数の県に事業所がある企業での確認方法をまとめます。

この記事のポイント

6県の改定額と発効日

厚生労働省の発表によると、今年度は全47都道府県で改定額が答申されました。全国加重平均は1,177円(前年度から56円の引き上げ)です。発効日は10月1日から12月2日まで分かれており、10月1日に発効するのは15都道府県だけです。

主な県の改定額は次のとおりです(各労働局の公示・発表で確認した値)。

現行 → 改定後 発効日 月額の目安※
三重 1,087円 → 1,143円 10月1日 190,500円
愛知 1,140円 → 1,195円 10月1日 199,167円
兵庫 1,116円 → 1,172円 10月1日 195,334円
香川 1,036円 → 1,092円 10月1日 182,000円
鳥取 1,030円 → 1,090円 10月3日 181,667円
愛媛 1,033円 → 1,093円 11月1日 182,167円

※年間の所定労働日数が250日、1日の所定労働時間が8時間(1か月平均166.67時間)の場合に、最低賃金を満たすために必要な月額(1円未満は切り上げ)。所定労働時間が違えば、必要な月額も変わります。

上の表にない県は、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」で確認してください。発効日は、異議の申し出の状況などによって変わることがあります。

どの額を使うかは3つのルールで決まる

(1) 本社ではなく、実際に働く事業所の所在地で決まります
地域別最低賃金は、働く人が勤める事業所がある都道府県の額が適用されます。三重県に本社があっても、愛知県の工場で働く実習生には愛知県の額(10月1日から1,195円)が適用されます。

(2) 国籍・在留資格は関係ありません
最低賃金法は、雇用形態や呼び方に関係なく、すべての労働者に適用されます。外国人技能実習機構(OTIT)も、毎年の改定のたびに「技能実習生にも適用される」と周知しています。特定技能の人も同じです。
なお、技能実習生と特定技能の人の報酬は、最低賃金を上回るだけでなく「同じ仕事をする日本人と同等以上」であることも求められます。

(3) 発効日以降に働いた分から、新しい額が適用されます
給与の締め日が月の途中にあると、1つの計算期間に現行額と新しい額が混ざります。たとえば20日締めの会社なら、9月21日〜10月20日の期間のうち、10月1日以降に働いた分が新しい額の対象です。愛媛県は11月1日発効なので、10月中は現行額(1,033円)のままです。

複数の県に事業所がある企業は、事業所ごとに額と発効日が違います。「全社で同じ基本給」の場合は、額が一番高い県を基準にすると、確認漏れを防げます。上の表では、同じ月給でも愛知の事業所だけ足りなくなる、ということが起こります。

最低賃金の計算に入る賃金・入らない賃金

最低賃金法第4条と同法施行規則では、次の賃金を最低賃金の計算に入れないと定めています。

計算に入れる 計算に入れない
基本給 精皆勤手当・通勤手当・家族手当
毎月決まって支払う職務手当・資格手当など 時間外・休日・深夜の割増賃金
賞与など、1か月を超える期間ごとに支払う賃金
結婚手当など、臨時に支払う賃金

「手当込みで月20万円だから大丈夫」と判断するのは危険です。皆勤手当や通勤手当を除くと足りない、というケースがよくあります。

MOOZ事業協同組合

月給制の人は時間額に換算して比べる

計算式は次のとおりです。

(計算に入れる月の賃金)÷(1か月平均の所定労働時間)≧ 最低賃金額(時間額)

1か月平均の所定労働時間は「年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12」で求めます。

計算例(年間250日・1日8時間勤務)
- 基本給 185,000円/職務手当 8,000円/精皆勤手当 10,000円/通勤手当 6,000円
- 計算に入れるのは、基本給と職務手当の合計 193,000円
- 193,000円 × 12 ÷(250日 × 8時間)= 1時間あたり1,158円

事業所の所在地 新しい最低賃金 判定
三重 1,143円 満たす
兵庫 1,172円 月2,334円不足
愛知 1,195円 月6,167円不足

もし精皆勤手当まで計算に入れると、1時間あたり1,218円となり「愛知でも問題ない」と誤って判断してしまいます。

寮費・水道光熱費を控除している場合

  • 最低賃金を満たしているかは、控除する前の賃金で判断します。 寮費を差し引いた後の手取り額で比べるものではありません。
  • 一方で、寮費や水道光熱費を給与から差し引くには、労働基準法第24条にもとづく労使協定が必要です。技能実習では、寮費などの費用は実費を超えない適正な額であり、実習生に事前に説明して理解を得ていることが求められます。特定技能でも、定期的に本人が負担する費用は、実費相当などの適正な額であり、本人が内容を十分理解していることが基準になっています。
  • 賃上げにあわせて寮費や光熱費の控除額を見直す場合は、実費の範囲に収まっているかと、本人への説明を必ず確認してください。賃上げ分を控除の引き上げで相殺するような見直しは、実費を超えていないかを根拠にもとづいて確認する必要があります。

企業が今やるべきこと

  1. 事業所ごとに、県・新しい額・発効日を書き出す(本社の県で一括にしない)
  2. 月給制の人は、手当を分けて時間額に換算する(精皆勤・通勤・家族手当、残業代は除く)
  3. 締め日をまたぐ月の計算方法を決める(発効日以降に働いた分から新しい額)
  4. 寮費・光熱費の控除額が実費の範囲かを確認し、変える場合は本人に説明する
  5. ミャンマー人の実習生には、給与の変更内容を分かりやすく伝える(監理団体や通訳と連携すると確実です)

この記事で扱わないこと

  • 三重県の改定への具体的な対応(同じ日の別記事で扱っています)
  • 特定(産業別)最低賃金、最低賃金の減額特例
  • 技能実習計画や雇用条件書を変更するときの届出の手続き(監理団体・登録支援機関にご確認ください)
  • 派遣労働者に適用する額

愛知・兵庫など複数の県で実習生を受け入れている企業の方で、給与の確認方法や実習生への説明に迷われたら、MOOZ事業協同組合にご相談ください。特定技能の人の支援は、グループの登録支援機関である株式会社NADyがサポートします。
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