最低賃金10月改定|三重1143円と実習生の賃金対応

最低賃金10月改定|三重1143円と実習生の賃金対応

三重県の最低賃金は10月1日から1,143円になります

技能実習生や特定技能外国人を受け入れている三重県・東海地方の企業の担当者に向けて、2026年10月の最低賃金改定で「何が変わり、いつから、誰に影響し、9月中に何をすべきか」を整理した記事です。日本人従業員の賃金だけを見直して、外国人材の賃金チェックが後回しになると、発効日をまたいだ時点で最低賃金法違反になりかねません。結論から言えば、対応の期限は9月末です。

三重労働局は2026年8月5日、三重地方最低賃金審議会から、三重県最低賃金を現行の時間額1,087円から56円引き上げ、1,143円とする答申を受けました。その後、異議申出に関する手続きを経て、同局は2026年9月1日に官報公示を行っています。発効日は2026年10月1日です。

厚生労働省は2026年9月3日、すべての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されたことを公表しました。答申ベースの全国加重平均は1,177円で、前年度の1,121円から56円の引き上げとなります。発効日は都道府県ごとに異なり、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。

この記事のポイント

何が変わるか:東海地方の改定額と発効日

三重県・愛知県の改定内容は次のとおりです。いずれも各労働局の公表資料で確認できたものだけを記載しています。

項目 三重県 愛知県
改定前(時間額) 1,087円 1,140円
改定後(時間額) 1,143円 1,195円
引き上げ額 56円 55円
答申日 2026年8月5日 2026年8月5日
発効日 2026年10月1日 2026年10月1日

全国加重平均は1,177円(前年度比56円増)です。他県に事業所がある場合、最低賃金は「働いている事業場の所在地」の都道府県のものが適用されます。本社が三重県でも、工場が他県にあればその県の金額と発効日で判断します。発効日は10月1日とは限らないため、事業場ごとに各労働局の公表内容をご確認ください。

なお、特定の産業に適用される「特定最低賃金」が地域別最低賃金を上回る場合は、高いほうが適用されます。自社の業種に特定最低賃金が設定されているかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

誰に影響するか:技能実習生・特定技能も等しく対象です

最低賃金法は、日本国内の事業場で働く労働者に適用されます。国籍や在留資格による区別はありません。技能実習生も、特定技能1号・2号の外国人も、日本人のパート・アルバイトと同じように、改定後の最低賃金を下回る時給で働かせることはできません。最低賃金法第4条により、最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約はその部分が無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます。

さらに外国人材の受け入れ制度には、最低賃金とは別の基準があります。

  • 技能実習:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)第9条は、技能実習計画の認定基準として、報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等額以上であることを求めています。
  • 特定技能:特定技能雇用契約の基準を定める省令により、報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等額以上であることが求められています。
  • 育成就労:2027年4月施行予定の新制度でも、現時点の情報では同様に日本人と同等額以上の報酬が求められる方向とされています。ただし詳細は政省令や運用要領で変わりうるため、確定した内容は入管庁の最新情報をご確認ください。

つまり、「最低賃金ぎりぎりまで上げたから大丈夫」とは言い切れない、ということです。同じ作業に従事する日本人従業員の賃金を10月に引き上げるなら、実習生・特定技能外国人の賃金も同じ考え方で見直す必要があります。日本人だけを引き上げて外国人材を据え置くと、同等額以上の要件を満たさなくなるおそれがあります。

最低賃金を満たしているかの確かめ方

時給制の場合は単純に時給額と比較すれば済みますが、月給制の場合は時給に換算して比較します。計算式は次のとおりです。

月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 = 時間額

1か月平均所定労働時間は「(年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間)÷ 12」で求めます。ここで注意が必要なのは、支給しているすべての手当を月給に含められるわけではない点です。最低賃金の比較に算入できるのは、毎月支払われる基本的な賃金に限られます。

賃金の種類 最低賃金の計算に算入
基本給 算入できる
毎月支払われる職務手当・役職手当など 算入できる
通勤手当 算入できない
家族手当 算入できない
精皆勤手当 算入できない
時間外・休日・深夜労働の割増賃金 算入できない
賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金 算入できない
臨時に支払われる賃金 算入できない

実習生の賃金台帳でとくに間違えやすいのが、寮費・水道光熱費の控除です。宿舎費を給与から控除している場合でも、最低賃金を満たしているかどうかは控除する前の賃金額で判断します。手取り額で見ると足りていないように見えても違反ではありませんし、逆に控除前で計算して足りていなければ違反です。ここを取り違えたまま賃金表を作っている例は少なくありません。

また、寮費や水道光熱費の控除には賃金控除に関する労使協定が必要で、金額も実費相当の範囲であることが求められます。賃金改定にあわせて、控除の根拠書類が整っているかも点検しておくとよいでしょう。

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企業が今やるべきこと:9月中の5ステップ

発効日は10月1日です。10月分の給与計算が始まる前に、次の順番で進めてください。

1. 対象者を洗い出す
日本人従業員だけでなく、技能実習生・特定技能外国人・パート・アルバイトを含め、事業場ごとに全員をリスト化します。事業場が複数県にある場合は、県ごとに適用額と発効日を分けて管理します。

2. 時間額に換算して比較する
月給制の人は上の計算式で時間額を出し、改定後の額(三重県なら1,143円)と比べます。算入できない手当を差し引いてから計算するのを忘れないでください。

3. 日本人従業員との均衡を確認する
同じ作業に従事する日本人の賃金を10月に引き上げるかどうかを確認し、実習生・特定技能外国人の賃金がそれと同等額以上になっているかを点検します。賃金規程で職務等級が定まっている場合は、外国人材にも同じ等級表を適用できているかを確認します。

4. 雇用条件書・賃金表を更新し、監理団体に相談する
賃金額を変更する場合は、雇用条件書や賃金に関する説明書の更新が必要です。技能実習の場合、報酬額の変更が技能実習計画との関係でどのような手続きになるかは、変更の内容によって扱いが異なります。自己判断せず、監理団体を通じて外国人技能実習機構(OTIT)の取り扱いを確認してください。特定技能の場合も、雇用条件の変更に伴う届出の要否を登録支援機関にご確認ください。MOOZでは、必要書類のご案内と手続きのサポートを行っています。

5. 本人に母語で説明する
賃金が上がること、寮費の控除がどうなるかを、本人が理解できる言語で説明します。金額の変更は本人にとって最も関心の高い事項です。書面と口頭の両方で伝え、説明した記録を残しておくと、後の誤解を防げます。

あわせて、賃金引き上げに取り組む中小企業向けには、厚生労働省の業務改善助成金などの支援策があります。設備投資などを伴う引き上げを検討している場合は、三重労働局や三重働き方改革推進支援センターの窓口で、要件と申請期限を早めに確認しておくことをおすすめします。

賃金の説明でつまずきやすい点

ミャンマーから来た実習生に限らず、外国人材への賃金説明では次の3点で誤解が生じやすくなります。

総支給額と手取り額の違い:来日前に聞いた金額は総支給額であることが多く、社会保険料・税・寮費を差し引いた手取りとの差に驚くケースがあります。最低賃金が上がっても手取りの増え方は小さく見えるため、控除の内訳を一つずつ説明することが大切です。

残業代の計算基礎も上がること:基本給が上がれば、時間外労働の割増賃金の単価も上がります。給与計算ソフトの単価設定を更新し忘れると、割増賃金の不足につながります。

改定月をまたぐ給与の扱い:締め日と支払日の関係で、9月分と10月分が1回の給与に混ざる場合があります。日割りでどう計算したかを説明できるようにしておきましょう。

よくある質問

Q1. 実習生の給与が改定後の最低賃金を下回っていました。いつまでに直せばよいですか。
A. 10月1日以降の労働分から改定後の額が適用されます。発効日以降の分について不足があれば差額の支払いが必要です。10月分の給与計算の前に賃金表を更新してください。

Q2. 寮費として月2万円を控除しています。控除後の手取りが最低賃金を下回りますが問題ありますか。
A. 最低賃金を満たしているかどうかは控除前の賃金額で判断します。控除前で満たしていれば最低賃金法上の問題にはなりません。ただし控除には労使協定が必要で、金額も実費相当であることが求められます。

Q3. 日本人の従業員は10月に賃上げしません。実習生だけ最低賃金の分を上げれば足りますか。
A. 最低賃金の観点では足ります。ただし技能実習・特定技能には「日本人が従事する場合と同等額以上」という基準があるため、同じ作業の日本人より高くなること自体は問題ありません。逆に、日本人だけを引き上げて外国人材を据え置く形にならないようご注意ください。

Q4. 技能実習計画に書いた報酬額と実際の額が変わります。手続きは必要ですか。
A. 変更の内容によって取り扱いが異なります。監理団体を通じて外国人技能実習機構に確認するのが確実です。MOOZの組合員企業には、必要書類のご案内を含めてこちらから手順をお伝えしています。

Q5. 育成就労が始まったら最低賃金の扱いは変わりますか。
A. 現時点の情報では、最低賃金法はこれまでどおり適用される見込みです。育成就労は2027年4月施行予定の新制度で、詳細は政省令で変わりうるため、確定した内容は入管庁の最新情報をご確認ください。

まとめ

2026年10月1日から、三重県の最低賃金は1,143円、愛知県は1,195円になります。全国加重平均は1,177円で、各県10月1日から12月2日にかけて順次発効します。

最低賃金法は国籍を問わず適用され、技能実習生も特定技能外国人も対象です。加えて制度側には「日本人と同等額以上」という基準があるため、日本人従業員の賃上げと切り離さずに見直すことが欠かせません。9月中に、対象者の洗い出し、時間額への換算、日本人との均衡確認、雇用条件書の更新、本人への説明まで済ませておきましょう。

MOOZ事業協同組合は、三重県津市を拠点に、ミャンマー人材の受け入れを支援する監理団体です。賃金改定に伴う雇用条件の見直しや、必要書類のご案内など、受け入れ後の実務についてもご相談を承っています。初めての受け入れをご検討中の企業様も、2名からのご相談が可能です。

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https://mooz-gr.jp