育成就労の人数枠が3倍になる会社、ならない会社

育成就労の人数枠が3倍になる会社、ならない会社

育成就労で受け入れられる人数は、会社の常勤職員数に応じて決まります。そのうえで、本店が「指定区域」にある優良な受入れ機関が、優良な監理支援機関の監理支援を受ける場合、受入れ人数枠は基本人数枠の3倍になります。出入国在留管理庁が公表している育成就労制度Q&A(Q37・Q41)に書かれている内容で、2026年9月時点の情報です。

逆に言えば、本店が愛知県や大阪府にある会社は、原則としてこの3倍から外れます。工場や施設がどこにあるかではなく、本店がどこにあるかで判断されます。ここを取り違えたまま人数の計画を立てている会社が、実際にあります。

「指定区域」に自社は入るのか?

指定区域とは、育成就労外国人が大都市圏に過度に集中しないようにするため、告示で定められた地域のことです。入管庁のQ&A(Q42)では、「東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県以外の道県と、この8都府県のうちの一部の地域」と説明されています。

三重県、岐阜県、静岡県、滋賀県、奈良県、和歌山県は、この8都府県に入っていません。東海地方で言えば、愛知県だけが原則として外れ、三重・岐阜・静岡は指定区域の側に立ちます。同じ東海で取引先も労働市場も地続きなのに、育成就労の人数枠ではここに線が引かれます。

そして判断の基準です。Q&A(Q43)は、指定区域にあるかどうかは育成就労実施者の本店所在地によって判断される、としています。就労先ではありません。

具体的に書きます。本社が名古屋市にあり、工場が三重県四日市市にある食品会社の場合、見るのは名古屋です。原則として3倍の対象にはなりません。反対に、本店が津市にあって県外にも事業所を持っている会社は、判断の起点が津市になります。

当組合に相談が来たとき、受け入れ人数の話に入る前に登記簿上の本店住所を確認しているのは、このためです。パンフレットの住所と登記上の本店がずれている会社は珍しくありません。

この記事のポイント

「3倍」を今の人数と比べると、計算が合わない

ここは慎重に読んでいただきたいところです。

入管庁のQ&A(Q41)には、技能実習の1号から3号までの区分が廃止されることに伴い、1年目から3年目までの育成就労外国人の合計をもって受入れ人数枠を定めると書かれています。つまり、育成就労の枠は「毎年何人入れられるか」ではなく、「その時点で何人在籍させられるか」の上限です。

技能実習は1号・2号・3号という区分ごとに人数を見る形でした。数え方そのものが違うので、「3倍になる」という言葉だけを取り出して、いま在籍している実習生の人数と単純に比べると話が合いません。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、この話を数字なしで進めないようにしています。相談の場では、御社の常勤職員数と、2027年4月時点で何名在籍させたいかという希望の2つを先に伺い、そこに基本人数枠を当てはめて実数でお見せします。基本人数枠そのものは常勤職員数の区分ごとに定められていて、分野別の上乗せ基準がかかる場合もあります。一般論で「増えます」「減ります」と言っても、判断の材料になりません。

MOOZ事業協同組合

3倍になるには、優良が2つ必要

もう一点、見落とされやすいところがあります。

Q&A(Q37)が説明しているのは、優良な監理支援機関から、地方に所在する優良な受入れ機関が監理支援を受ける場合に3倍になる、という条件です。受入れ機関の側が優良と認められるだけでは足りず、監理を担う側も優良である必要があります。受入れ機関の優良要件はQ45・Q46に、監理支援機関の優良要件はQ38に、それぞれ考え方が示されています。

そのうえで、正直に書いておきます。監理支援機関の許可も優良の認定も、申請と審査を経なければ確定しません。2027年4月の制度開始前のいま、どの団体も「うちは優良です」と確定的には言えない段階です。当組合も同じです。言えるのは、どの基準で審査されるかが公表されていること、そして申請の進み具合は日付でお答えできること。この2つです。取引先の団体に確認するときも、「優良ですか」ではなく「申請はいつ出しましたか」と聞いたほうが、返ってくる答えははっきりします。

転籍で入ってくる人は、総数の3分の1まで

人数の話をもう一つ。多人数を受け入れる現場に直接関わります。

育成就労では、一定の要件のもとで本人の意向による転籍が認められます。その受け入れ側にも上限があり、Q&A(Q54)では、育成就労外国人の総数を分母、本人意向の転籍者の総数を分子として計算した結果が3分の1を超えてはならない、と定められています。人材育成という制度の趣旨に照らして、在籍者の多くを転籍者が占める状態は相当ではない、という整理です。

10名、20名の規模で受け入れている工場やホテルでは、欠員が出たときに「転籍で来たい人をまとめて受ける」という発想が出やすくなります。それはこの3分の1で頭打ちになります。人数を積む計画は、転籍での補充を当てにせず、入国からの受け入れで組む前提になります。寮の部屋数やシフトを何年先まで見て組むかにも、ここが効いてきます。

人数を積む予定があるなら、今週のうちに3つ

順番としては、制度の勉強より先に自社の数字を並べるほうが早く進みます。

まず、登記簿の本店所在地を見て、指定区域に当たるかどうかを確認すること。次に、常勤職員数を法人全体と事業所ごとの両方で出しておくこと。そして、2027年4月と2028年4月のそれぞれの時点で何名在籍させたいかを、希望として数字にしておくこと。この3つがそろえば、基本人数枠と3倍の条件を当てはめて、実現できる形かどうかをその場で判断できます。

MOOZ事業協同組合は三重県津市の監理団体で、ミャンマー人材を専門にしています。受け入れは2名から承っています。「2名で本当にいいんですか」と必ずと言っていいほど驚かれますが、食品製造(弁当・惣菜・水産加工)、介護、宿泊・クリーニング、縫製・電子部品組立、溶接・自動車部品のいずれも、少人数で始めて年ごとに積んでいく形でお手伝いしています。初期費用と月額監理費は、内訳を実額でお伝えします。必要書類のご案内も、順を追って進めます。

育成就労は2027年4月施行予定の新制度で、詳細は政省令や告示で変わりうるものです。この記事の内容も現時点の情報として読んでいただき、判断の前には入管庁と外国人技能実習機構の最新情報をあわせてご確認ください。指定区域の告示や基本人数枠の適用で迷われたら、登記簿の本店住所と常勤職員数だけご用意のうえ、ご連絡ください。

ご相談・お問い合わせはこちらから。
https://mooz-gr.jp


参考
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」 https://www.moj.go.jp/isa/03_00163.html
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html