10月1日から、実習生の労働条件通知書に1項目増えます
2026年10月1日から、パート・有期雇用の方を雇い入れるときに書面で明示する事項が1つ増えます。増えるのは「通常の労働者との待遇の相違の内容・理由等について、説明を求めることができる」旨の案内です。技能実習生も特定技能1号の方も雇用契約は有期が基本なので、10月1日以降に雇い入れる方の労働条件通知書は、いまのひな形のままだと項目が足りません。
何が増えて、いつからなのか
厚生労働省は2026年5月29日付で「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(外国人雇用管理指針)の改正を告示しました。適用は2026年6月14日・2026年10月1日・2027年4月1日の3段階です。
6月14日に適用された1段目は、同一労働同一賃金ガイドラインの徹底、日本語学習の支援、在留カードの様式変更と読取アプリの活用といった内容でした。10月1日の2段目が、今回の明示事項の追加です。改正パートタイム・有期雇用労働法施行規則等の施行にあわせたもので、外国人だけのルールではなく、パート・有期で働く方全員が対象です。外国人雇用管理指針は、それを外国人の雇用管理でも当然に守る、という位置づけで書かれています。
3段目の2027年4月1日は、育成就労制度の施行に合わせた部分です。現時点の情報では、基本方針に沿った雇用管理が求められる形になります。

技能実習生や特定技能の人も対象になりますか?
対象になります。分かれ目は在留資格ではなく、雇用契約が有期かどうかです。
技能実習は実習計画の期間に合わせた有期契約が通常です。特定技能1号も、多くの受け入れ企業が1年ごとの更新契約にしています。実際、MOOZ事業協同組合(三重県津市)でご案内している企業さんで、実習生・特定技能の方を無期雇用にしている例はほとんどありません。つまり、ほぼ全員が今回の対象です。
ときどき「うちは正社員と同じ作業をさせていないから関係ない」と言われます。そこは分かれ目ではありません。追加されるのは「説明を求めることができます」という案内の一文で、待遇差の有無とは関係なく書きます。違いがないなら、聞かれたときに「違いはありません」と答えることになります。
説明を求められたら、何を答えるのか
紙を直すのは10分で終わります。本番はその後です。
聞かれるのは「正社員のAさんと私で、手当や賞与がなぜ違うのか」という話です。答えるべきは金額の多い少ないではなく、違いの理由が業務の内容・責任の範囲・配置の変更の範囲といった説明のつく要素にひもづいているか、です。ここが説明できない状態のまま10月を迎えると、質問が出たときに現場で止まります。
もう1つ、厚生労働省の資料では、説明の申出先(誰に言えばよいか)も通知書に書いておくと円滑だとされています。実習生の場合、日本語で言いにくいことを現場の班長に直接言える人は多くありません。MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、社内の担当者と、月次の巡回で来る監理団体の担当者の両方を経路として案内しています。申出先が社長1人だけだと、実際には誰も言い出せずに終わります。

同じ日に入った5名でも、日本語は同じではない
兵庫県の食品工場(そう菜加工・女性5名)の監査でのことです。全員が2024年8月に同じ便で入国した5名ですが、2年経った時点で日本語はN2からN4まで幅がありました。
「待遇の相違について説明を求めることができます」という一文を日本語で通知書に足しても、N4の人がその意味を読み取れるかは別の話です。文の意味は、仕組みが分かっていないと通じません。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、通知書に一文を足すのと合わせて、配属時のオリエンテーションで「給与や待遇で分からないことがあったら聞いていい」ということを母国語で伝える形をとっています。紙は法令上の義務を満たすためのもの、伝わるかどうかは別に作る、と分けて考えるほうが確実でした。
10名・20名で受け入れている工場ほど、先に手を打つ
多人数を受け入れている現場ほど、通知書は「前の人と同じ様式」で回っています。そこが落とし穴です。
ひな形を1つ直せば全員分に効くので、手間は人数に比例しません。むしろ、直さないまま10月・11月と配属が続くと、あとから何人分をさかのぼるのかという話になります。10月は最低賃金の改定時期とも重なり、賃金額の書き換えで通知書に触ることになります。同じタイミングで項目の追加もやってしまうのが、いちばん手数が少ない方法です。
具体的には、(1) 現在使っている労働条件通知書の様式に、待遇の相違について説明を求められる旨と申出先を書き加える、(2) 10月1日以降に雇い入れる方から新様式を使う、(3) 正社員と待遇が違う項目について、理由を一度言葉にしておく。この3つです。
相談の前に手元にあると早いもの
いま使っている労働条件通知書と、正社員の賃金規程(または賃金テーブル)の2つがあれば、どこを直すかはその場で分かります。技能実習・特定技能の在留期限が今年度中に来る方がいれば、更新時の契約書も一緒に見ます。
MOOZ事業協同組合は三重県津市の監理団体で、ミャンマー人材の技能実習・特定技能の受け入れを、三重県を中心に東海・近畿の企業さんと進めています。受け入れは2名からです。特定技能の支援はグループ企業の株式会社NADy(登録支援機関)が担当します。労働条件通知書の見直しや、10月以降の契約の整え方については、必要書類のご案内も含めてお手伝いしています。
ご相談は https://mooz-gr.jp から。「10月1日の明示事項の件で」とお伝えいただければ、現在の様式を見ながら話が早く進みます。