入国から3か月、実習生はいつ現場に立つのか

入国から3か月、実習生はいつ現場に立つのか

入国した翌日から、現場には立ちません

初めて技能実習生を受け入れる会社から、いちばん多く聞かれるのがこれです。「入国したら、いつから働いてもらえますか」。

答えは「入国から1か月ほど後」です。第1号技能実習では、入国後講習の期間中、実習実施者(受け入れ企業)のもとで業務に従事させることができません。出入国在留管理庁・厚生労働省が編集する「技能実習制度運用要領」(2026年4月編)に定められた要件で、ここを飛ばして現場に入れると、計画どおりの実習を行っていないことになります。

だから受け入れの逆算は、こうなります。現場に人が立つ日から1か月戻したところが入国日、そこからさらに募集・面接・計画認定・在留資格の手続きの期間を戻したところが、いま動き出す日です。「来月から2名」はできません。

この記事のポイント

講習は1か月で終わるのか、2か月かかるのか

入国後講習の長さは、時間数で決まっています。第1号技能実習の1年目に予定している活動時間の6分の1以上。月160時間×12か月=1,920時間で計画を立てた場合、320時間以上です。1日8時間の講習なら40日ほど、つまり1か月半近くかかります。

ただし短縮の仕組みがあります。入国前6か月以内に、1か月以上かけて160時間以上の講習を現地で受けていれば、入国後講習は12分の1以上(先の例なら160時間以上)で足ります。現地の教育をどこまでやっているかが、そのまま「現場に立つ日が何週間早まるか」に効いてくる部分です。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、ミャンマーの提携先送り出し機関で入国前から日本語教育を行っています。教科書は『みんなの日本語 第二版』と会話の映像教材で、月次の成績表には日本語力だけでなく生活態度も記録されます。配属前から一人ずつの進み方が分かるようにしているのは、入国後講習の時間を短くするためだけではなく、配属後に誰にどう手をかけるかを決めるためです。

講習の中身でひとつだけ、会社にも知っておいていただきたい科目があります。「技能実習生の法的保護に必要な情報」で、8時間以上、外部の専門的な知識を有する講師が担当します。賃金の未払いやハラスメントに気づいたときにどこへ相談するかを、実習生本人が最初に教わります。会社にとっては、労務管理が最初から外から見られる前提で始まる、ということです。

配属日から5日と14日、期限の短い手続きが来ます

講習が明けて配属された日から、会社側の手続きが一気に動きます。期限が短いものが先に来るので、初回だけはたいてい慌てます。

健康保険・厚生年金の資格取得届は、配属から5日以内に年金事務所へ。技能実習生は労働基準法上の労働者に当たるため、社会保険・労働保険の扱いは日本人従業員と同じです(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「技能実習生の労働条件の確保・改善のために」)。雇用保険の届出も同じ時期に発生します。在留カードに記載する住居地の届出は、住み始めてから14日以内に市区町村の窓口です。

寮の水道・電気・ガス、銀行口座、自転車の防犯登録、ゴミ出しのルール。制度の話ではありませんが、配属週に会社の誰かが動かないと止まるのはこちらです。MOOZでは監理団体の担当が同行しますが、「会社の誰が窓口か」を配属前に1人決めていただくよう案内しています。決まっていない会社では、質問がどこにも届かないまま3か月が過ぎます。

2か月目、監理団体は毎月来ます

配属後、監理団体の関わり方は2種類あります。混同されやすいので分けて書きます。

訪問指導は、第1号技能実習の期間中、監理責任者の指揮の下で1か月に1回以上。役職員が現場に行き、実習の実施状況を実地に確認して指導します。監査は、入国後講習の開始日が属する月を起算月として、3か月(四半期)ごとに少なくとも1回。実習生本人への聞き取りや帳簿の確認まで含みます(外国人技能実習機構「外国人技能実習 適正実施マニュアル」)。つまり最初の3か月のうちに、訪問指導が3回前後、監査が1回入ります。

この訪問で私たちが何をしているか。制度の確認だけではありません。交通安全教育を、毎週のようにしています。 自転車の乗り方、道路の渡り方。母国と交通ルールが違うので、配属直後がいちばん危ない時期です。会社の労災でも在留資格の問題でもなく、いちばん現実的なリスクがここにあります。受け入れ初年度の会社には、通勤経路を一緒に歩くところまでお願いしています。

MOOZ事業協同組合

3か月目にいちばん見ているのは、日本語ですか?

日本語も見ますが、先に見るのは別のものです。掃除に真面目に取り組めるか、報告・連絡・相談ができるか。この2つができる人は、技能の伸びも早い。逆に、講習中に気になった点は、たいてい現場でも出ます。

日本語の進み方は、同じ便で来た2人でもまったく違います。会話は第1課のところで止まっているのに、文法は第9課まで進んでいる人がいる。他の人に教える余裕がある人もいれば、伸び悩む人もいます。兵庫県の惣菜製造の受け入れ先(女性5名・2024年8月入国)では、2年後の日本語がN2からN4まで分かれました。同じ時期に来て、同じ職場で、差がつきます。

だから3か月目の面談では、日本語の点数より「この人はいま何に困っているか」を聞きます。配属後に、送り出し機関の先生も入れて、監理団体・日本語学校・送り出しの3者でオンライン面談をすることもあります。「日本に慣れた」「日本人ともうまくいっている」と話す人がいる一方で、反応の薄い人もいる。そこを早く見つけるための3か月です。

もうひとつ。家庭の事情などで寮の集団生活をしていない人は、生活面が見えにくくなります。整理・整頓・清掃が保てているか確認しづらいので、巡回では特に気にかけています。会社側で寮を用意する場合は、むしろ見えやすいと考えていただいて構いません。

2名でも10名でも、山は同じ場所に来ます

MOOZの受け入れは2名からです。「本当に2名でいいのか」と必ず驚かれます(多くの組合が5名からのためです)。一方で、工場・宿泊・介護のように一度に多人数を受け入れる場合、最初の3か月の負荷は人数に比例しません。同じ便で入国した人は、講習の明ける日も配属日も同じになるので、社会保険の届出、住居地の届出、寮の立ち上げ、シフトへの組み込みが、全部同じ週に来ます。

10名規模で入れるなら、配属週に集中する事務を分散させるために、寮を2か所に分けるか、入国の便を分けるかを事前に決めておく必要があります。ここは計画の段階で相談していただくと、あとで楽になります。シフトについても、配属初月から夜勤や繁忙期の変則シフトに入れる想定だと、生活リズムと日本語の習得が両方止まります。1〜2か月目は日勤で固める形を、私たちからは案内しています。

2027年4月からの育成就労はどうなるか

現時点の情報では、2027年4月に施行が予定されている育成就労でも、入国前・入国後の講習の枠組みは引き継がれる方向で検討されています。ただし時間数や短縮要件の細部は政省令で変わりうるため、確定した数字として使わないでください。いま技能実習で入れる人の最初の3か月については、上に書いた技能実習制度運用要領(2026年4月編)がそのまま適用されます。

最初の3か月で、会社に用意していただくもの

順番に3つです。

配属前に決めるのは、寮(住居)と、社内の窓口1名。住居は寝室の広さの要件があるため、物件を押さえる前にご相談ください。窓口は、実習生の質問と監理団体の連絡が届く先です。役職ではなく、現場で毎日顔を合わせる人が向いています。

配属週に動かすのは、社会保険(5日以内)と住居地の届出(14日以内)。必要書類のご案内と同行は監理団体が行いますが、提出そのものは会社の手続きです。

配属後3か月で決めておくのは、日勤中心のシフトから通常シフトへ移す時期。これを実習生の日本語と生活の様子を見ながら決めるために、訪問指導の記録をお渡ししています。

費用について、実は最も多いご質問が「初期費用と月額監理費の内訳を実額で知りたい」です。業種・人数・地域で変わるため一般論では書けませんが、見積りの形でお出ししています。入国後講習の期間も監理費は発生します(人が現場に立つ前から費用が始まる、という点は最初にお伝えしています)。

三重県・東海地方で、工場(食品・製造)、宿泊、介護での受け入れをご検討中の方は、MOOZ事業協同組合(三重県津市)までご相談ください。「現場に人を立たせたい月」だけ決まっていれば、そこから逆算した日程表をお出しします。

https://mooz-gr.jp

この記事の根拠
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「技能実習制度運用要領」(2026年4月編)https://www.moj.go.jp/isa/content/930005219.pdf
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「外国人技能実習制度について」(2026年4月1日改訂版)https://www.moj.go.jp/isa/content/930005177.pdf
- 外国人技能実習機構「外国人技能実習 適正実施マニュアル」https://www.otit.go.jp/upload/docs/240516-100.pdf
- 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「技能実習生の労働条件の確保・改善のために」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/ginoujisyu-kakuho/dl/ginou.pdf