特定技能で県外へ移る人を減らす、修了1年前の3つの準備
特定技能に移る人の県外流出は、制度では止まりません。受け入れ企業にできるのは、修了の1年前に、移行後の給与・手取り・役割を紙で示して本人と話すことです。
この記事は、三重県で複数の技能実習生を受け入れている工場の社長に向けて書きました。修了が1年以内に来る人がいる会社に関わる話です。
なお、県外へ移った人の数を示す公表の数字は、今回確かめられませんでした。人数の話はせず、確かめられた決まりと数字だけで進めます。
6分の1の上限は、特定技能には当てはまるのか
当てはまると確認できたのは、育成就労の転籍だけです。 転籍とは、働く会社を移ることです。特定技能の転職に同じ上限があることは、今回の確認では見つかりませんでした。
入管庁の育成就労Q&Aは、外国人が「大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないよう」配慮する仕組みを示しています。(🔗 出入国在留管理庁のページ 2026年10月に確認)
Q&Aの中身は次の3点です。現時点の情報では、という前提で読んでください。
- 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県以外の道県と、この8都府県の一部を「指定区域」として地方と扱う。判断は本店所在地で行う
- 指定区域の優良な受け入れ企業が、優良な監理支援機関の支援を受けると、受け入れ人数枠が基本の3倍になる
- 大都市圏の会社が地方から受け入れる本人意向の転籍者は、育成就労外国人の総数の6分の1まで。全国共通の上限は3分の1
小規模な会社には例外があります。転籍者を含めて6名未満なら、3分の1の範囲で1名まで受け入れられます。
三重県は8都府県に入っていません。Q&Aの文言からは指定区域に読めますが、県名の明記はありません。人数枠の計算に使うときは、告示で確かめる必要があります。
育成就労は2027年施行予定の制度で、今いる技能実習生が特定技能へ移る場面を守る決まりではありません。だから、備えは会社の側で持つことになります。

特定技能に移る人は、どこを見て決めるのか
比べられるのは、まず給与です。 厚生労働省が2026年8月31日に公表した令和7年外国人雇用実態調査では、一般労働者の毎月決まって支給される給与の平均は次のとおりでした。
特定技能は25万4,100円、技能実習は21万3,500円で、差は約4万円です。 全国の平均なので、地域や業種の違いが混ざった数字です。🔗 厚生労働省のページ
同じ調査で、「今の会社の仕事を続けたい」と答えた人は81.2%でした。「日本国内で別の会社の仕事に変わりたい」は6.1%です。いずれも技能実習や特定技能に限らない、外国人労働者全体の数字です。
続けたい人のほうがずっと多い。私たちは、この数字を前向きに読んでいます。話し合いの土台が、もともとあるからです。
給与だけで決まるわけでもありません。奈良県の製造業の会社は、ミャンマーの技能実習生を11年受け入れ、今は26名が働いています。これはMOOZの組合員ではなく、その会社が公開している発信です。社長は、働く人が給料や仕事の内容だけでなく、職場の雰囲気や温かさも大事にしていると書いています。
修了1年前に、3つのことを紙で渡す
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、修了の1年前に本人と話すことをおすすめしています。 修了の直前では、本人はもう次の職場を調べ終えているかもしれないからです。
話す前に、次の3つを紙にします。
1. 給与の見通し
移行した月の基本給と手当、その1年後の昇給の考え方を書きます。上の平均は比べる目安になります。金額は会社の事情で決めるものです。
大事なのは「特定技能になったら考える」で終わらせないことです。
2. 手取りの見込み
額面ではなく、寮費や光熱費、税金、社会保険料を引いたあとの金額を書きます。 都市部の求人は額面が目を引きます。そこから家賃や通勤の費用がいくら引かれるかは、本人が自分で調べるしかありません。
三重県で働く利点を説明するより、この1枚のほうが伝わります。
3. 特定技能になってからの役割
作業の範囲、後輩への指導、シフトの組み方など、1年後に任せたいことを書きます。「あなたに何を任せたいか」は、求人票に載らない情報です。

多人数の工場は、同期を「一人ずつ」見る
同じ時期に入国した人でも、同じ条件表を配らないほうがよいと考えています。 2026年9月の監査で、兵庫県の食品工場(そう菜加工・女性5名)の様子を見ました。全員が2024年8月の入国でも、2年で日本語の伸び方に差がついていました。
日本語が伸びた人には後輩への指導を、作業が安定している人には工程の取りまとめを。役割を分けると、話す内容も一人ずつ変わります。
当組合で入国する女性の多くは、N3・N2を取得しています。日本語ができる人ほど、選べる仕事は増えます。だから、1年前に話す意味が大きいと見ています。
人数が多い会社は、次の2点も先に決めておくと話が進みます。
- 寮:移行後も今の部屋に住むのか、住み替えを選べるのか
- シフト:移行した人を各班にどう置くか
10名の同期が同じ時期に修了する工場なら、移行後の昇給の増加分を、人数×月額×12か月で先に出します。これが、残ってもらうためにかかる費用の見え方です。
何もしないと、何が起きるのか
同じ時期に来た人の修了は、同じ時期に重なります。 準備をしないまま進むと、仕事を覚えた人の進路が、会社の知らないところで同時に決まります。
代わりの人を探すのにも時間がかかります。先ほどの奈良県の会社も、希望した人数は来ているものの、入国までに時間がかかることはあると書いています。
それでも県外へ行くと決めた人を、無理に止めることは勧めていません。話し合って決めた別れなら、残る人も安心して働けるからです。
次に確かめること
修了日が1年以内に来る人が何人いるかを、名簿で数えてください。 面談の順番は、それで決まります。
ご相談のときは、業種・人数・修了の時期・本店所在地を教えてください。こちらからは、移行にかかる費用の内訳と面談から申請までの日程をお返しします。特定技能の支援は、グループ企業の株式会社NADy(登録支援機関)が担当します。
三重県津市のMOOZ事業協同組合の入口は、30分無料オンライン相談です。
MOOZ公式サイト
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