真空成形・手袋製造が特定技能と育成就労の対象になる案
10月19日の案で、工場の何が変わるのか
真空成形、手袋製造、バフ研磨、フィルム加工。これらの作業で外国人材を受け入れられるようにする案が、2026年10月19日の国の有識者会議に出されました。
出入国在留管理庁と厚生労働省の資料「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正について」(第15回有識者会議の資料1-1)に、工業製品製造業分野の見直しとして載っています。プラスチック成形、縫製、金属加工、ガラス製品の工場を持つ会社には関係があります。
工業製品製造業の分野で示された主な変更は、次のとおりです。
- 新しい業務区分:板ガラス加工、ガラス溶融成形(業務区分は17から19に)
- 業務の追加:機械金属加工に「航空機部品組立て」、機械金属加工と電気電子機器組立てに「真空成形」、縫製に「手袋製造」
- 育成就労の主たる技能の追加:フィルム加工(ドライラミネート・押出ラミネート・スリット・製袋・フラットヤーン)、金属表面処理の「バフ研磨」、陶磁器製品製造の「タイル製造」「衛生陶器成形」
「業務」が加わると、特定技能と育成就労の両方でその作業に就けるようになります。「主たる技能」は育成就労だけの考え方で、3年間で計画的に育てる技能の単位です。
9月9日の第14回会議の案にあった、紙器・段ボール箱製造の「貼合工程」の追加は、10月19日の資料では取り消し線で消されています。段ボール工場の方は、この点を見落とさないでください。

作業が増えても、受け入れられる人数は増えない
工業製品製造業の受入れ見込数は「変更なし」です。
同じ資料では、分野全体で特定技能1号が19万9,500人、育成就労が11万9,700人のままです。対象の作業が広がっても、枠は同じです。
つまり、新しく対象になる作業の工場が、今の工業製品製造業の会社と同じ枠を分け合う形になります。特定技能では、ほかの分野で枠が残り少なくなり、新しい受け入れが止まった例もすでにあります。
国が追加の理由として示した数字も、人手の足りなさを表しています。令和7年度の有効求人倍率は、工業製品製造業の分野全体で2.80倍、真空成形を含む区分で2.90倍、手袋製造で3.02倍、ガラス溶融成形で4.90倍です。
自社の工場が使えるかは、産業分類が先に決める
作業名が案に入っていても、それだけでは受け入れられません。
工業製品製造業と飲食料品製造業の分野には「産業分類」という条件があります。事業所が日本標準産業分類の決められた産業に当てはまらないと、外国人材を受け入れられないというものです。資料でも、産業分類は業務区分ごとではなく分野全体にかかると説明されています。
たとえば、真空成形で食品容器を作っている工場が、どの産業分類で登録されているか。手袋の縫製をしている会社が、繊維製品の製造として数えられているか。ここが合っているかで結論が変わります。
今回の資料では、工業製品製造業の産業分類を広げるという記載は見当たりません。だから、作業名を確かめる前に、事業所の産業分類を確かめることが最初の一手です。

いつから受け入れられるのか?
10月19日の資料には、いつから使えるかは書かれていません。
示されたのは「改正(案)」です。今の分野別運用方針は2026年1月に閣議決定されたもので、改正にも手続きが要ります。育成就労は2027年4月1日施行の予定です。細かな運用は、現時点の情報では政省令や告示で変わることがあります。
入管庁のページでは、第15回会議の議事要旨・議事録は「追って掲載予定」となっています。会議でどんな意見が出たかは、掲載を待って確かめる必要があります。
技能実習で今入れるか、育成就労を待つか
当組合にいちばん多い相談は、「技能実習で今入れるか、2027年4月の育成就労を待つか」です。今回の案で対象が広がる工場では、この問いの答えが作業ごとに変わります。
今の技能実習で受け入れられる職種・作業に、自社の仕事が入っているか。入っていれば、技能実習で今から始める道もあります。資料によれば、タイル製造の作業は令和7年度に技能実習2号の対象に加わっています。入っていなければ、今回の案が決まるのを待つことになります。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、今回の案に作業が入っている工場には、次の順で確かめるよう案内しています。
- 事業所の産業分類(日本標準産業分類)
- 外国人材に任せたい作業が、今の技能実習の職種・作業に入っているか
- 何人を、いつまでに入れたいか
この3つがそろえば、技能実習で今入れるか、育成就労を待つかは、ほぼ決まります。当組合は2名から受け入れており、女性の実習生が中心です。縫製や電子部品組立ての工場とのお付き合いも長く、手作業の多いラインの事情はよく分かっています。
次に確かめる1点
まず、自社の事業所の産業分類を確かめてください。総務省の統計調査の回答控えや、取引先・金融機関に出している会社概要に書かれていることが多いです。
ご相談のときは、工場で作っている物と担当してほしい作業、受け入れたい人数、働き始めてほしい時期の3つを教えてください。当組合からは、使える制度の候補と、入国までの日程の目安をお返しします。
入口は「30分無料オンライン相談」です。
MOOZ公式サイト
関連する記事として、「溶接や縫製の工場が育成就労を使えるかは産業分類で決まる」(2026年10月10日)と、「2027年4月をまたぐ採用計画|実習で今入れるか待つか」(2026年9月16日)もあわせてお読みください。
出典:出入国在留管理庁「第15回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」(2026年10月19日開催)🔗 出入国在留管理庁のページ/資料1-1 📄 出入国在留管理庁の資料(PDF)