永住の基準が10月1日改定。技能実習の年数は5年に数えない

永住の基準が10月1日改定。技能実習の年数は5年に数えない

技能実習や特定技能1号で働いた年数は、永住許可に必要な「就労資格で5年」には数えられません。出入国在留管理庁(入管庁)が2026年10月1日付けで改定した「永住許可に関するガイドライン」に、育成就労も含めてそう書かれています。長く働いてほしい人が永住に届くには、特定技能2号などに上がってから5年が必要で、その間の日本語・収入・税と社会保険の納付が審査で見られます。新しい基準は2027年4月1日以降の申請から適用されます。

10月1日の改定で何が変わるか

永住許可とは、在留期間の更新が要らなくなり、仕事の種類にも制限がなくなる許可のことです。入管庁のガイドラインは、その審査で何を見るかを示しています。

改定後のガイドラインでは、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち5年以上を「就労資格または居住資格」で過ごしていることが求められます。この就労資格から除かれるものとして、技能実習、育成就労、特定技能1号、企業内転勤、一部の特定活動が挙げられています。実習や1号の年数は10年のほうには入りますが、5年のほうには入りません。

日本語については、「B1相当レベル以上の日本語能力を有しているか」が考慮要素として書かれました。確認は入管庁長官が指定する方法で行うとされています。どの試験の何級がこれに当たるかは、入管庁の最新情報をご確認ください。

収入は「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」とされ、具体的な金額はガイドラインには書かれていません。老後の年金についても、その年収水準で30年間働いて厚生年金に入っていた場合の受給見込額が目安として示されています。

税と社会保険も明記されています。所得税・住民税などの租税、公的医療保険、公的年金に未納や過去の滞納処分があれば、原則として消極的に評価されます。

同じ10月1日には「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」も策定されました。2024年の入管法改正で加わった取消し事由について、判断の考え方を示すもので、施行は2027年4月1日です。永住を取ったあとも、納付の状況は見られ続けます。

この記事のポイント

いつの申請から新しい基準になるのか

入管庁のガイドラインには「令和9年4月1日以降の申請から適用」とあります。2027年4月1日です。

ただし、収入と公共の負担に関する部分には経過措置があり、改定日の6か月前以降に申請して改定日時点で審査中の案件にも適用されると書かれています。すでに申請している人、近く申請する人が社内にいる場合は、本人が相談している行政書士か入管に、どの基準で見られるのかを確かめてください。

MOOZ事業協同組合

影響を受けるのは2号に上げる人がいる会社

技能実習だけで帰国する人には、直接の影響はありません。影響が出るのは、実習や育成就労のあと特定技能1号、さらに2号へと上げて、10年単位で働いてもらうつもりの会社です。なお、育成就労は2027年4月施行予定の制度で、現時点の情報では、ガイドライン上は技能実習と同じ扱いで5年の計算から除かれています。

年数を並べると、こうなります。技能実習3年、特定技能1号で最長5年。ここまでで8年ですが、「就労資格で5年」はまだゼロです。2号に上がってから5年たって、ようやく年数の条件がそろいます。入国から数えると、早くても13年前後かかる計算です。

食品工場や介護施設で10人、20人と受け入れている会社では、数年のうちに「永住を取りたい」と言う人が必ず出ます。そのとき「あと何年か」を会社が正しく答えられるかどうかで、本人が残るかどうかが変わります。

日本語も同じです。2026年9月16日に監査で伺った兵庫県の食品工場(そう菜加工・女性5名)では、全員が2024年8月の入国でしたが、日本語はN2からN4まで幅がありました。同じ日に来ても2年で差がつきます。B1相当が考慮される以上、2号に上げたい人に勉強の時間をどう確保するかは、本人任せでは済まなくなります。

企業が今やるべきこと

1つ目は、給与天引きの点検です。住民税の特別徴収、健康保険、厚生年金の手続きに漏れがあると、納めていないのは本人という扱いになります。転籍や在留資格の切り替えで、天引きが1〜2か月抜けることがあります。人数が多い会社ほど、切り替えの月をまとめて確認しておく必要があります。

2つ目は、2号に上げる人の賃金です。永住の収入の目安が「日本人世帯の平均を上回る水準」になったので、2号の賃金が1号とほとんど変わらない会社では、本人が永住に届きません。届かないと分かった人は、届く会社を探します。

3つ目は、日本語の時間です。寮で夜に自習するだけでは伸びる人と伸びない人に分かれます。シフトの中に週1回でも学習の時間を置くか、試験の受験料を会社が持つか。どちらかを決めている会社は、2号に上がる人が続いています。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、長く働いてほしい人がいる会社には、入国の段階で「実習の3年は永住の5年に入らない」ことを本人にも伝えるよう案内しています。後から知って落胆されるより、最初に道のりを見せたほうが、2号を目指す理由になるからです。永住が許可されるかどうかは入管の個別の審査で決まるため、会社が約束できるのは、年数と賃金と学習の機会までです。

受け入れは2名から可能で、特定技能への移行後の支援はグループの株式会社NADy(登録支援機関)が担当します。相談の際は、いま在籍している外国人材の人数、在留資格ごとの内訳、それぞれの在留期限が分かる一覧をご用意ください。三重県・東海地方の会社には訪問して伺います。連絡先は https://mooz-gr.jp にあります。