ミャンマー人実習生を迎える前に、食事と祈りと名前の話

ミャンマー人実習生を迎える前に、食事と祈りと名前の話

礼拝室や専用の食堂は必要か?

ミャンマー人の実習生を受け入れるために、礼拝室や専用の食堂を先に用意する必要はありません。受け入れ前に決めておくのは、寮の台所の使い方、4月の休みの取り方、書類に書く名前の表記の3つです。外務省の基礎データではミャンマーの宗教は仏教が90%ですが、キリスト教やイスラム教の人もいるため、国籍で一律に決めず、面接で本人に確認するのが確実です。

出入国在留管理庁の公表では、2025年末時点で日本に在留するミャンマー人は18万2,567人。1年で約4万8,000人増えました。工場や介護施設、ホテルで隣の会社がすでに受け入れている、という地域も珍しくなくなっています。そのぶん「うちの職場で困らないか」という質問も具体的になってきました。

以下、実際に聞かれる順に書きます。

この記事のポイント

食事は「何が食べられないか」を面接で聞く

仏教徒が多いといっても、食べ物の決まりは人によって違います。牛肉を口にしない人、特定の曜日に肉を控える人、何も気にしない人。キリスト教やイスラム教の人なら、また別の答えが返ってきます。

受け入れ側がやることは単純で、面接のときに本人に2つ聞くことです。食べられないものはあるか。仕事で触れない食材はあるか。

2つ目は、弁当・惣菜・水産加工の工場では配属ラインに直結します。豚肉や牛肉を扱うラインに入ってもらう予定なら、面接の段階で作業内容を写真や動画で見せ、本人が納得したうえで選考に進んでもらう。あとから「実は」となるより、双方にとってずっと楽です。

社員食堂や仕出し弁当については、原材料が分かるようにしておけば足ります。メニューを作り替える必要はありません。実習生の多くは寮で自炊をします。

寮の台所で先に決めること

自炊が中心になるので、問題が起きやすいのは職場より寮の台所です。油と香辛料を使う料理が多く、換気扇の掃除、排水口、生ごみの出し方で近隣や大家さんとの行き違いが出ます。

2名なら家庭用の台所で回ります。5名、10名と一度に受け入れる場合は、コンロの口数と冷蔵庫の容量、調理の時間帯が重ならないシフトかどうかを、物件を決める前に見ておいてください。早番と遅番が同じ寮に入ると、深夜の調理音が次の相談になります。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、設備より先にルールを決めるよう案内しています。当組合は、身だしなみや生活習慣の約束を入国前から本人と決めています。髪型、そして禁煙。禁煙は健康の話としてではなく、寮の火事のリスクと、本人のお金が残らなくなるという経済面の話として説明しています。理由が生活に結びついていると、約束は守られやすい。台所やごみ出しのルールも同じで、「日本ではこうだから」ではなく「隣の部屋の人が困るから」「退去のときに費用がかかるから」と伝えるほうが通じます。

巡回のときにも、技能より先に掃除と報連相(報告・連絡・相談)を見ています。ここができている人は現場でも伸びる、というのが担当者の実感です。

MOOZ事業協同組合

名前に姓がない。書類はどう書くか

ミャンマーには、日本の苗字にあたる姓がありません。親子でも名前に共通の部分がないのが普通です。文化の話に聞こえますが、受け入れ企業にとっては事務の話です。

給与計算ソフト、銀行口座、社会保険、雇用保険。どれも「姓」「名」の欄が分かれています。担当者ごとに区切り方が違うと、同じ人が別人として登録され、照合のたびに手が止まります。在留カードの氏名は原則としてアルファベットで表記されているので、社内の書類はすべて在留カードのつづりと語順にそろえ、姓・名の欄への入れ方を最初の1人目で決めてしまうのが確実です。人数が多い会社ほど、ここを決めずに始めると後で直す件数が増えます。

呼び方は本人に聞いてください。名前の一部を呼び名にしている人が多く、同じ呼び名の人が同じ職場に重なることもあります。名札やシフト表に書く表記も、そのときに一緒に決めます。

4月の水祭りと、休みの希望が重なる時期

ミャンマーの新年は例年4月中旬で、水祭り(ティンジャン)と呼ばれる行事があります。日本でいう正月にあたる時期で、家族と連絡を取りたい、同郷の仲間と集まりたいという希望が出やすくなります。

会社が特別な休暇を設ける義務はありません。ただ、有給休暇の希望が同じ数日に集中することはあります。10名を同じラインに配置している工場や、春の行楽期と重なる宿泊施設では、3月のうちに希望を聞いて、交代で休めるように組んでおくと混乱しません。「全員は無理だが、半分ずつなら」という答えを早めに返すだけで、受け止め方はずいぶん違います。

宗教上の行事で休みたい日が他にあるかどうかも、面接か配属時に聞いておけば足ります。

交通ルールは、配属直後がいちばん危ない

文化の違いで見落とされやすいのが交通です。当組合の巡回では、制度の確認だけでなく、自転車の乗り方や道路の渡り方を毎週のように教えています。母国と交通ルールが違うので、配属直後がいちばん事故の危険が高い時期です。

三重や東海の工場は、寮から職場まで自転車で通う形が多くなります。通勤経路を一度、担当者が一緒に走ってみてください。暗い交差点、歩道のない区間、左側通行。日本人には当たり前のことが、最初の1か月は当たり前ではありません。ライトと反射材、自転車保険の加入も配属前に済ませておきます。

相談の前に用意しておくとよいもの

ここまでの話は、どれも費用のかかる準備ではありません。面接で聞くことを決め、寮のルールを紙にし、名前の書き方を統一する。受け入れを決めてからでも間に合いますが、寮の物件だけは人数とシフトで条件が変わるので、早い段階で検討に入れてください。

当組合では、お問い合わせから入国までおよそ6〜8か月を見ていただいています。受け入れは2名から、人数をまとめての受け入れにも対応しています。費用は人数と職種で変わるため、無料相談で初年度の概算をご案内します。

ご相談の際は、次の3点が分かると話が早く進みます。受け入れたい人数と時期、担当してもらう作業(扱う食材や機械)、寮の候補となる物件の間取りと職場までの距離です。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)は、ミャンマー人材を専門とする監理団体です。三重県・東海地方を中心に、食品製造、介護、宿泊、縫製・電子部品、溶接の受け入れをお手伝いしています。相談窓口は公式サイトにあります。
https://mooz-gr.jp