客室清掃で育成就労を使う会社へ、審査基準が9月30日に出ました
ホテルの客室清掃や病院・施設の清掃で育成就労の受け入れを考えている会社は、計画を書く前に確かめることが2つあります。受け入れる営業所が建築物清掃業などの登録を受けているか、そして1年目から決められた器具と作業を一通り経験させられる現場か、です。法務省と厚生労働省が2026年9月30日に公表した、ビルクリーニング分野の「育成就労計画審査基準」に、その中身が書かれました。育成就労は2027年4月施行予定の制度で、以下は現時点の情報です。
9月30日に何が出たのか
ビルクリーニング分野の育成就労制度運用要領は、2026年7月14日に公表されていました。ただ、肝心の「どの作業を、何年目に、どの道具でやらせるか」を示す審査基準は「追って別紙としてお示しします」とされたままでした。9月30日の一部改正で、その別紙が新しく定められています。外国人技能実習機構(OTIT)も同日付で改正を案内しています。
育成就労計画審査基準とは、受け入れ企業が作る育成就労計画に書く必須業務・使う器具・作業場所の範囲を、分野ごとに定めた表のことです。計画がこの表に合っていなければ認定されません。
別紙で目を引くのは次の点です。
- 作業場所の一覧に「客室、病室等(ベッドメイク作業やアメニティ交換等を含む一連の清掃作業)」が入った
- 1年目の必須業務は「各種清掃作業の補助」、2年目・3年目は日常清掃と定期清掃そのもの
- 1年目は、器具26種類のうち1番から25番までを全て使わせる。この中にベッド、マットレス、シーツが含まれる
- 1年目は洗剤・水石けん・衛生消耗品、真空掃除機と吸水バキュームも使わせる
- 対象は「住宅を除く建築物」の内部
もう1つ、小さな文言の修正があります。技能実習からの移り方についての注意書きが「技能実習を2年以上行っている場合」から「2年を超えて行っている場合」に直されました。技能実習を3年以上行った人は育成就労計画の認定を受けられず、2年を超えて行った人は対応する業務区分以外の育成就労はできない、という整理です。ちょうど2年の人の扱いが変わるので、今ビルクリーニングの実習生がいる会社は在籍期間を数え直しておく意味があります。

ホテルの客室清掃は、どの会社なら育成就労で受け入れられる?
ここがいちばん誤解の出やすいところです。
運用要領の本文は、育成就労を行わせる事業所について、建築物衛生法第12条の2第1項の「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を受けた営業所であることを求めています(令和8年厚生労働省告示第180号第2条)。登録は都道府県知事が行い、法人単位ではなく営業所単位です。有効期間は6年で、更新しなければ基準に合わなくなります。
つまり、客室清掃を清掃会社に任せているホテルの場合、受け入れ主体になるのはその清掃会社です。ホテルが自社のスタッフで清掃している場合は、その営業所が登録を受けているかどうかで決まります。登録が無ければ、この分野の育成就労計画は申請できません。
加えて、雇用は直接雇用に限られ、派遣はできません。分野別協議会への加入は、計画の認定申請より前に済ませておく必要があります。申請書類には協議会の構成員資格証明書を付け、そこに登録の有効期間が記載されます。期限が迫った証明書で申請すると、更新後のものを出し直すことになると要領に書かれています。
なお、フロントや接客まで任せたい場合は分野が別になります。清掃が主なのか、接客を含むのかで入口が変わるので、ここを曖昧にしたまま話を進めないほうが安全です。自社の業務がビルクリーニング分野に当たるか分からないときの問い合わせ先は、厚生労働省の生活衛生課とされています。

いつから、誰に関係するか
育成就労の施行は2027年4月1日の予定です。計画の認定申請は施行日前から受け付けが始まっており、ビルクリーニング分野はこの別紙が出たことで、ようやく計画の中身を具体的に書ける状態になりました。
関係するのは、ホテル・旅館の客室清掃を請け負う清掃会社、病院や介護施設の清掃を請け負う会社、そして自社で登録を持って清掃部門を抱える宿泊業・施設運営の会社です。清掃を外部に出しているホテルや施設も、委託先が人を確保できるかどうかに直結するので無関係ではありません。
人に求められる水準も確認しておきます。運用要領では、就労開始までに日本語はJFT-BasicのA1相当以上かJLPTのN5以上、または相当する日本語講習100時間以上。1年経過までに育成就労評価試験(初級)、終了までに特定技能1号評価試験と日本語A2.2相当以上が目標です。本人の意向による転籍の制限期間は1年とされています。
1年目の「25種類」は、現場を選びます
器具を1番から25番まで全部使わせる、という条件は、読み流すと後で困ります。ほうきやモップ、ウインドスクイジー、フロアパッドと並んで、ベッド・マットレス・シーツが入っているからです。
客室のあるホテルなら自然に満たせます。一方で、オフィスビルだけを受け持つ営業所では、ベッドメイクをどこで経験させるのかを計画段階で決めておかなければなりません。逆に客室だけを回る現場では、床の機械洗浄や窓の作業が薄くなりがちです。複数名をまとめて受け入れる場合は、全員が1年のうちに一巡できるよう、現場の割り振りとシフトを先に組む必要があります。
安全衛生業務の欄には、整理・整頓・清掃・清潔・習慣の遵守、服装の点検(身だしなみを含む)、報告・連絡・相談の遵守が並んでいます。これは私たちが普段見ているところと重なります。MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、ミャンマーの提携日本語学校で、技能より先に「校内の掃除に真面目に取り組めるか」「報連相ができるか」を見ています。ここができる人は配属後も伸びる、というのが巡回を続けてきた担当者の実感です。清掃の現場では、それがそのまま仕事の評価項目になります。
申請の前に手元でそろえるもの
MOOZ事業協同組合では、ビルクリーニングでのご相談にはまず次の順でお聞きしています。
最初に、受け入れる営業所の登録証です。建築物清掃業か建築物環境衛生総合管理業か、営業所名、有効期限。期限が2027年前後に切れるなら、更新の受付時期を都道府県の生活衛生担当に確認しておいてください。
次に、その営業所が受け持っている現場の一覧です。客室・病室があるか、床の機械作業があるか。別紙の作業場所17項目と器具26種類に照らして、1年目に足りないものが無いかを見ます。
最後に人数です。当組合の受け入れは2名からで、寮と通勤手段、清掃時間帯に合わせたシフトを人数と一緒に決めます。客室清掃はチェックアウト後の数時間に作業が集中するので、何名を同じ時間帯に入れるかで寮の場所も変わります。
登録証の写しと現場の一覧があれば、育成就労で組めるのか、特定技能のほうが早いのかを具体的にお答えできます。三重県・東海地方の清掃会社、宿泊施設、介護・医療施設の方は、https://mooz-gr.jp の問い合わせ窓口からご連絡ください。制度の細部は今後の告示や協議会の決定で変わる可能性があるため、申請前には入管庁・厚生労働省の最新の運用要領を一緒に確認します。