不法残留6万8千人、技能実習が9,300人。会社が確かめること
法務省は「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」をまとめ、新しい施策として「摘発の強化」を加えました。資料によると、不法残留者は2026年1月1日現在で約6万8千人、このうち技能実習の在留資格だった人が約9,300人です。実習生や特定技能の人を雇う会社、とくに派遣やアルバイトの外国人も現場にいる工場・宿泊・介護の会社は、在留カードの確認を採用時の1回で終わらせていないかを見直す時期です。
出入国在留管理庁(入管庁)のサイトには、パッケージ本体と解説資料の2つが載っています(2026年10月9日に確認)。この記事の数字は、すべてパッケージ本体の資料によります。
何が変わるのか。雇う側に向いた項目が3つあります
パッケージの大半は、入国審査や送還といった国の側の施策です。その中で、会社に直接かかわるのは「不法就労をさせた側」への対応です。
資料には次の3点が書かれています。
- 不法就労助長者の摘発強化と、厳正な対処
- 入管の体制を増やしたうえでの、関係省庁との合同摘発・入管単独の摘発の強化
- 不法就労助長罪を各業法の欠格事由に盛り込むことの提案(法改正が必要)
不法就労助長罪とは、働くことが認められていない外国人を働かせたり、あっせんしたりした者を処罰する規定です(出入国管理及び難民認定法 第73条の2)。知らなかった場合でも、過失があれば処罰を免れないとされています。
3つ目の「欠格事由」は、許可や登録を受けられなくなる条件のことです。資料は「提案する」という書き方で、どの業法が対象かは示していません。法改正が必要とも明記されています。現時点で決まった話ではありません。
このほか、インターネット上を見回る「サイバーパトロール」の実現、情報提供や通報を促す策の検討も並んでいます。

技能実習は、不法残留のおよそ7人に1人です
資料の現状分析では、約6万8千人のうち技能実習だった人が約9,300人で、およそ7人に1人にあたります。いちばん多いのは短期滞在で入国した人で、全体の6割ほどです。
新しく発生した人数で見ると、技能実習の比重は上がります。2025年の1年間に新たに不法残留となった人は約1万3千人。そのうち技能実習は約3,200人で、24.9%でした。
国はこの数字への対策として、「技能実習制度に替わる育成就労制度の創設」を挙げています。育成就労は2027年施行予定の新制度で、現時点の情報では、一定の条件で本人の意向による転籍が認められます。
もう1つ、中長期の在留者についても、在留資格認定証明書(海外から人を呼ぶときに申請する書類)の審査をさらに厳格にすることを検討する、と書かれています。これから申請する会社にとっては、書類の整合がいっそう問われる方向です。
いつから始まるのか
資料に、施策ごとの開始日は書かれていません。「実施する」と書かれた項目と、「検討する」「提案する」と書かれた項目が混ざっています。
摘発の強化は【新規】の施策として、重点的に取り組む項目に入っています。一方、業法の欠格事由は法改正が前提なので、すぐに変わるものではありません。
罰則のほうは、すでに引き上げが決まっています。2024年の入管法改正で、不法就労助長罪は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から「5年以下または500万円以下」(併科あり)になりました。入管庁の改正法の概要資料に記載があります。適用の時期は入管庁の最新情報をご確認ください。

実習生しかいない会社にも関係があるのか?
関係があります。理由は2つです。
1つは、実習生以外の外国人が現場にいる場合です。食品工場やホテル、介護施設には、派遣会社から来る人、留学生のアルバイト、家族滞在のパートの人がいます。実習生や特定技能の人は監理団体や登録支援機関が関わりますが、こうした人たちの在留カードを確かめるのは会社だけです。
もう1つは、自社の実習生が行方不明になる場合です。会社が罪に問われる話ではありませんが、受け入れは止まります。団体監理型の技能実習では、会社は監理団体に遅れずに知らせ、監理団体が外国人技能実習機構に届け出ます(技能実習法 第19条第2項、第33条)。
10名、20名と一度に受け入れている会社ほど、一人ひとりの様子は見えにくくなります。
行方不明の前には、たいてい小さな変化があります
私たちは配属後に、オンラインで面談をすることがあります。送り出し機関の先生にも入ってもらい、監理団体・日本語学校・送り出し機関の3者で様子を見ます。
「日本に慣れた」「日本人ともうまくいっている」と言う一方で、反応の薄い人もいる
担当者の巡回報告にあった一文です。言葉では「大丈夫」と言っていても、表情や返事の間で分かることがあります。母語で話せる相手が同席していると、そこで初めて出てくる話もあります。
寮で暮らしていない人は、とくに生活面が見えにくくなります。巡回でも気にかけている点です。
会社が今やること。満了日を一覧にして、期限の前に確かめ直す
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、外国人従業員の在留期間の満了日を1枚の一覧にしておくことをおすすめしています。採用時にカードを見ただけでは、その後の更新や資格の変更が追えないからです。
一覧に入れるのは、氏名、在留資格、満了日、次に確認する日の4つで足ります。実習生や特定技能の人だけでなく、アルバイトやパートの人も同じ表に入れます。
派遣で来ている人は、雇い主が派遣会社です。それでも、自社の現場で働く人のことですから、派遣会社がどう確認しているかを一度聞いておくと安心です。
カードの確認には、入管庁の無料アプリ「在留カード等読取アプリケーション」が使えます。2026年6月14日以降のカードは表面の記載が減っているので、目視だけでは読み取れない項目があります。くわしくは次の記事に書きました。
まず確かめる1点と、ご相談のときに伝えてほしいこと
今週のうちに、満了日が3か月以内に来る人が何人いるかを数えてみてください。一覧が無い会社は、数えようとした時点で、どこに穴があるかが分かります。
MOOZ事業協同組合は、三重県津市を拠点に、ミャンマー人材の技能実習・特定技能の受け入れをお手伝いしています。受け入れは2名からです。更新の時期が重なる多人数の受け入れでは、必要書類のご案内と手続きのサポートを、時期をそろえて進めています。
ご相談の際は、業種、いま働いている外国人の人数と在留資格の内訳、次の受け入れを考えている時期を教えてください。三重県・東海地方を中心に、近畿の会社からのご相談にも対応しています。
※本記事は2026年10月9日時点の法務省・出入国在留管理庁の公表資料にもとづいています。検討中とされた施策の内容や時期は、入管庁の最新情報をご確認ください。