技能実習の月給は平均21万3,500円、課題の1位は日本語

技能実習の月給は平均21万3,500円、課題の1位は日本語

外国人材を受け入れるといくら払うことになり、入れてから何に困るのか。厚生労働省が2026年8月31日に公表した「令和7年外国人雇用実態調査」によると、月々の給与の全国平均は技能実習が21万3,500円、特定技能が25万4,100円です。雇用する事業所が挙げた課題の1位は「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で、46.2%でした。賃金は平均額に合わせるものではなく、準備の差が出るのは日本語のほうです。

8月31日に公表された調査で何が分かったか

外国人雇用実態調査とは、外国人を雇っている事業所と、そこで働く外国人本人の両方に、厚生労働省が賃金や雇用管理の実態を尋ねる統計調査です。対象は、雇用保険の被保険者が5人以上いて、外国人を1人以上雇っている全国の事業所です。今回は3,919事業所と外国人労働者14,248人から有効回答がありました。

調査から推計される外国人労働者は約204万人で、前年の約182万人から増えました。在留資格別では、専門的・技術的分野(特定技能はここに含まれます)が42.1%、永住者や日本人の配偶者など身分に基づくものが24.0%、技能実習が21.7%です。

外国人を雇う理由は「労働力不足の解消・緩和」が68.2%で最多でした。

この記事のポイント

技能実習生と特定技能の給与は、いくらが目安?

月々の給与の平均は、外国人労働者全体で29万2,400円でした。前年比6.4%増です。技能実習は21万3,500円(同1.7%増)、特定技能は25万4,100円(同1.5%増)でした。

この金額は「きまって支給する現金給与額」で、残業代などを含み、税金や社会保険料を引く前の額です。基本給だけの数字ではありません。

全体が6.4%伸びたのに対し、技能実習と特定技能の伸びは1%台でした。理由は調査結果からは断定できません。

注意したいのは、この平均額を自社の給与の「相場」として使えるわけではない点です。技能実習法第9条第9号は、実習生の報酬を「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上」とすることを実習計画の認定基準にしています。つまり基準は全国平均ではなく、自社で同じ仕事をしている日本人従業員の賃金と、地域の最低賃金です。

三重県の2026年度の最低賃金は時給1,143円です。仮に月170時間働くとすると、最低賃金ぎりぎりでも基本給だけで約19万4千円になります。ここに残業代が乗ると、調査の平均額に近い水準になります。

MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、受け入れの相談を受けたとき、最初に自社の賃金表を見せていただいています。同じ工程にいる日本人のパート・正社員がいくらで働いているかが分かれば、実習生の賃金はほぼ決まるからです。

会社が負担するのは給与だけではありません。監理費、入国時の費用、寮の整備費などが別にかかります。この調査の賃金には含まれていないので、総額は見積もりで確認してください。

MOOZ事業協同組合

課題の1位は2年続けて日本語

雇用する側の課題では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%で最多でした。前年(令和6年調査)の43.9%から上がっています。外国人を雇う事業所の半数近くが、言葉でつまずいていることになります。

ここは制度によって前提が違います。特定技能1号は、日本語能力試験N4またはJFT-Basicの合格が在留資格の要件です。一方、技能実習には日本語の法令上の要件がありません。だから、入国前にどんな教育をしているかで、送り出し機関と監理団体の差が出ます。

2027年4月に始まる予定の育成就労は、現時点の情報では、就労を始める前に一定の日本語力か講習の受講が求められます。詳細は政省令で変わりうるので、入管庁の最新情報で確かめる必要があります。

日本語の進み方には個人差もあります。2026年9月16日に監査で伺った兵庫県の食品工場(そう菜加工・女性5名)では、全員が2024年8月に入国しました。2年たった時点で、日本語はN2の人からN4の人まで幅がありました。同じ日に来て、同じ寮で暮らし、同じラインに立っていても、これだけ差がつきます。

複数名を一度に受け入れる工場や施設ほど、この差が現場に響きます。「日本語ができる人を」と一括りに頼むより、誰に指示の中継ぎを任せ、誰に時間をかけるかを先に決めておくほうが現実的です。

私たちは、面接の段階で一人ずつの学習の進み具合を見てもらうよう案内しています。提携先のミャンマーの日本語学校からは、月ごとに成績表が出ます。日本語力に加えて生活態度の評価も入っています。

この数字が関係するのはどんな会社か

1つ目は、受け入れを初めて検討していて、社内に出す人件費の試算が必要な会社です。調査の平均額は「このくらいの水準で雇われている」という参考になります。稟議に載せる数字は、最低賃金と自社の賃金表から出してください。

2つ目は、すでに実習生がいて、10月の最低賃金改定のあとに賃金を見直す会社です。日本人従業員の時給を上げたのに実習生の分を据え置くと、「同等以上」の基準から外れるおそれがあります。

3つ目は、5名、10名とまとめて受け入れる食品工場・宿泊施設・介護施設です。人数が増えるほど日本語の差は広がり、寮やシフトの組み方にも関わってきます。

受け入れを考えている会社が今週やること

用意するものは3つです。任せたい作業の内容と人数、その工程で働く日本人従業員の賃金(時給か月給)、そして寮にできる物件があるかどうか。これがそろえば、給与の見込みと会社が負担する総額の見積もりが出せます。

監理団体には、次の2点を聞いてみてください。入国前の日本語教育は何をどこまでやっているか。配属前に一人ずつの進み具合を資料で見られるか。この2つに具体的に答えられるかどうかが、判断材料になります。

MOOZ事業協同組合は三重県津市にあり、ミャンマー人材を専門に、三重県・東海地方を中心とした企業の受け入れを支援しています。受け入れは2名から可能です。賃金表と作業内容をもとにした試算のご相談は、公式サイト https://mooz-gr.jp からご連絡ください。