技能実習生の日常をFacebookに載せる会社へ応募が続く
面接で「Facebookを見た」と答える人がほとんどになった会社
実習生の日常をFacebookに載せ続けている会社に、翌年も応募が集まっています。奈良県の製造業の会社が2026年9月9日に公開した発信では、面接で「Facebookを見た」と答える人がほとんどだそうです。
これから毎年、複数名を受け入れていく工場・宿泊・介護の会社に関係する話です。
先にお断りしておきます。この会社は当組合の組合員企業ではありません。会社が自分で公開している内容をもとに書いています。
この会社にいるミャンマー人の技能実習生は、今26名です。1期生を受け入れたのは11年前で、2027年2月には10期生が来る予定だといいます。
経営者仲間や取引先、銀行からは「毎年必要な人数を確保できるのか」と聞かれることが増えたそうです。今のところ、希望した人数が来ている。ただし、入国までに時間がかかることはある、とも書かれていました。

投稿を始めた理由は、採用ではなく母国の家族でした
この会社が投稿を始めたのは、人を集めるためではありません。きっかけは「大事な娘さんを預かるのだから」という気持ちだったそうです。
母国の家族に、日本で元気にしている姿を伝える。そのために、1期生のときから実習生の様子を載せ続けてきました。
実習生からは、ミャンマーにいる家族がFacebookを見てすごく喜んでいた、という声が出ています。
応募につながったのは、会社にとっても思わぬ効果でした。家族に向けた投稿が、ミャンマーで海外就労を希望する人の目に留まるようになった、という順番です。
なぜ、日常の写真が翌年の応募につながるのか
求人票に書けない部分を、応募する人が自分の目で確かめられるからだと、私たちは見ています。
賃金や仕事の内容は、求人票に数字で書けます。書けないのは、寮の様子、休みの日の過ごし方、日本人の社員との距離です。
この会社の社長は、日本で働きたい人は給料や仕事の内容だけでなく、職場の雰囲気や温かさも大事にしていると感じる、と述べています。
もう一つ、先に来ている先輩の姿が見えることも大きいはずです。1期生から10期生まで続いている会社なら、投稿をさかのぼれば「3年後の自分」が写っています。
これは1社の例です。投稿を始めれば応募が増える、と約束できる話ではありません。
それでも、費用をかけずに始められて、やめる理由が少ない取り組みです。かかるのは、撮って載せる担当者の時間です。
2027年4月に始まる予定の育成就労では、現時点の情報では、一定の条件のもとで本人の希望による転籍が認められます。入ってからも「この会社で働き続けたい」と思えるかどうかが、今より問われます。

始める前に、写真の同意と載せないものを決める
顔の写った写真は個人情報です。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、本人が判別できる映像情報を、個人情報に該当する事例に挙げています(2026年10月時点で確認)。
実習生は、会社に頼まれると断りにくい立場にいます。だから、口頭の「いいよ」で済ませない。MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、1期生を迎える前に次の4つを決めておくことをおすすめしています。
- 同意は本人から、母語で書いた紙でもらう。入国直後の日本語では、何に同意したのか伝わりません
- 断ってもよいこと、後から消してほしいと言えることを、同じ紙に書く
- 寮の外観、最寄りの駅や店、制服の名札は載せない。住んでいる場所が分かるためです
- 投稿する人を1人決め、載せる前に本人に画面を見せる
当組合も、実習生の顔写真は本人の同意を記録したものだけを使っています。
外国人技能実習機構の資料に、SNSへの写真掲載そのものを定めた基準があるかは、当組合が調べた範囲では確認できませんでした。確認できていない以上、個人情報保護法の考え方に沿って、同意を記録に残す運用にしています。
人数が多い会社ほど、1期生から続けておく
投稿は、後から始めるより1期生から続けるほうが効きます。上の会社の強みは、1期生から続いている記録そのものだからです。
5名、10名と一度に受け入れる会社では、全員が写真を出したいとは限りません。載せたくない人が1人でもいれば、その人が写らない写真だけを使う。この線を最初に引いておくと、担当者が迷いません。
内容は、行事でなくて構いません。昼食、寮での自炊、日本語の勉強、検定の合格。家族が見たいのは、特別な日より普段の様子です。
当組合の巡回でも、配属後に「日本に慣れた」と話す人がいる一方で、反応の薄い人がいます。写真を撮る、見せる、家族の反応を聞く。このやり取りは、様子の変化に気づく機会にもなります。
次に確かめるのは、自社に「見せられる日常」があるか
投稿の技術より先に、写して困るものがないかを確かめてください。寮の部屋、休憩室、食事の場所。家族に見せられる状態かどうかが、そのまま受け入れの準備の点検になります。
ご相談のときは、次の3つを伝えていただくと話が早く進みます。
- 業種と、任せたい作業
- 受け入れたい人数と時期(当組合は2名から受け入れています)
- 寮を用意できるか、これから探すか
MOOZ事業協同組合は、三重県津市のミャンマー人材専門の監理団体です。同意書の文面や、現地の送り出し機関との連携も含めてご案内します。
あわせて読むなら、「女性2名を受け入れる前に、寮とシフトで決めておくこと」と「ミャンマー人実習生を迎える前に、食事と祈りと名前の話」が近い内容です。