給食は食品製造へ、介護は枠を付け替え。特定技能の区分変更案
特定技能の分野の区分を組み替える案を、政府が調整しています。日本経済新聞が2026年10月13日に報じた内容です。
外食業の枠で止まっている「医療・福祉施設の給食」を飲食料品製造業へ移し、介護は育成就労の枠から特定技能へ人数を移す、という案です。全体の上限は変えないとされています。
関係するのは、特定技能で人を採っている(採る予定の)食品工場と介護施設です。まだ決定前の案なので、ここでは「何が動きそうか」と「決まる前に確かめておくこと」に絞って書きます。
報道された案は、2つの付け替え
日経の報道によると、案は次の2つです。
1つ目は給食です。病院や福祉施設で食事を作る仕事は、今は特定技能の「外食業」の分野に入っています。外食業は上限5万人に届く見込みとなり、2026年4月13日以降に受理された新規の申請が止まっています(入管庁が9月9日の有識者会議で示した資料による)。この給食の仕事を、枠に余裕のある「飲食料品製造業」へ移して、受け入れを再開する案です。レストランなどの飲食店は、引き続き止まったままとされています。
2つ目は介護です。特定技能の介護は、このままのペースだと上限に届きます。そこで、2027年4月に始まる育成就労の介護の枠から、2万人分を特定技能へ移す案と報じられています。
どちらも、分野ごとの上限を足し合わせた全体の数は変えません。日経はこのやり方について、分野ごとに必要な人数を受け入れるという制度の考え方から外れる、と指摘しています。

いつ決まるのか
報道では、10月中旬の有識者会議で議論し、年内の閣議決定を目指すとされています。
有識者会議とは、入管庁と厚労省が開いている「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」です。10月16日時点で、入管庁の会議ページに載っているのは9月9日の第14回までで、次の回の資料はまだ出ていません。
分野別運用方針は、2026年1月23日に閣議決定されたばかりです。それを1年たたずに直すことになります。再開や付け替えが実際にいつから適用されるかは、報道でも公開部分には出ていません。決まるのは早くても年内と見ておくのが安全です。
食品工場にとっては、枠を分け合う話になる
飲食料品製造業の分野で採っている工場には、残りの枠が早く減るかもしれないという話です。
入管庁が2026年10月6日に更新した7月末の速報値では、飲食料品製造業の上限13万3,500人に対して在留者は10万1,922人でした。残りは約3万1,600人です。当組合が前に公表値から計算したところ、この1年の増え方が続けば約2年分にあたります。
上限は変えないまま、そこへ給食の仕事が加わります。外食業の枠で働いている給食の人たちが、移った時点で飲食料品製造業の人数に数えられるのか。新しく採る人だけが移るのか。ここは報道の公開部分からは分かりません。数え方によって、工場側の残りの減り方が変わります。
当組合の案内先には、弁当・惣菜の工場が多くあります。そうした工場で、2027〜2028年に技能実習生を特定技能へ移す予定がある会社は、この点の決まり方を見ておいてください。

介護施設にとって、広がるのは特定技能の枠だけ
介護施設には、特定技能の枠は広がり、育成就労の枠は狭くなる案です。
7月末の速報値で、特定技能の介護は上限12万6,900人に対して8万1,436人でした。残りは約4万5,500人です。ここに2万人が加われば、上限は14万6,900人になり、残りは約6万5,500人になります。この1年の増え方(約2万5千人)で割ると、約1年10か月分が約2年7か月分に延びる計算です(当組合の単純計算で、予測ではありません)。
一方で、2027年4月に始まる育成就労の介護の枠は、2029年3月までの2年間で3万3,800人と報じられていました(福祉新聞)。そこから2万人を移せば、残りは1万3,800人ほどです。報道でも、育成就労の介護の枠は約6割減る見通しとされています。
つまり、即戦力を特定技能で採る施設には追い風です。逆に、育成就労で3年かけて育て、その後に特定技能で残ってもらうつもりだった施設には、入口が小さくなる話になります。
いま当組合にいちばん多い相談は、「技能実習で今入れるか、2027年4月の育成就労を待つか」です。介護施設からのこの相談には、今回の案も判断材料に入れていただくことになります。
介護施設と食品工場が、今やること
決まる前に動けることは、次の3つです。
- 自社が特定技能のどの分野に当たるかを確かめる(病院・施設の給食を請け負う会社は、今は外食業)
- 何名を、いつまでに、どの制度で増やしたいかを数字にする
- 育成就労で受け入れるつもりなら、施行直後の時期に出す前提で準備の順番を決める
育成就労は2027年施行予定の新制度で、現時点の情報では、枠や手続きの詳細は今後の政省令や運用方針で変わりえます。それでも、「枠が小さいほうの入口は、早く埋まる」という点は、外食業で実際に起きたとおりです。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、介護施設で育成就労を使う予定がある場合、2027年度の早い時期に出せるよう、今から計画の準備を始めることをおすすめしています。 技能実習の受け入れ申請は2027年2月までなので、待たずに技能実習で入れるという選択も、まだ残っています。
決定を待つあいだに確かめる1点
次に確かめるのは、有識者会議の資料に「すでに在留している人をどちらの分野で数えるか」が書かれるかどうかです。食品工場の残りの枠も、介護施設の育成就労の入口も、ここで決まります。資料が出たら、当組合でも読み解いてお知らせします。
ご相談のときは、業種(給食の請負かどうかも)、受け入れたい人数、始めたい時期、今いる技能実習生の人数と修了時期を教えてください。その4つで、どの制度でどの順に動くかの見当がつきます。
三重県・東海地方の介護施設と食品工場であれば、2名から、複数名をまとめての受け入れまでご相談をお受けしています。
MOOZ公式サイト
関連記事:特定技能の枠、残りが少ない分野は?外食業は残り710人(2026年10月11日)/育成就労の枠は2年で42万6千人、食品製造は6万1,400人(2026年9月19日)