技能実習の不法残留7,928人、半年で1,395人減った
出入国在留管理庁(入管庁)は2026年10月16日、「本邦における不法残留者数について(令和8年7月1日現在)」を公表しました。
不法残留者は65,229人で、1月1日時点から3,259人(4.8%)減りました。在留資格が「技能実習」だった人は7,928人で、半年で1,395人減です。
減ってはいますが、在留資格別では短期滞在(39,180人)に次ぐ2番目のままです。技能実習生を複数受け入れている会社にとっては、まだ「よその話」と言える数ではありません。
7,928人という数字は何を表しているのか
不法残留者とは、在留期間が切れたあとも日本に残っている人のことです。入管庁の資料では、最後に持っていた在留資格ごとに数えています。
つまり7,928人は、技能実習で来日し、その後に在留期限を過ぎた人の数です。実習先からいなくなった人(行方不明者)の数とは、数え方が同じではありません。この点は分けて読む必要があります。
1月1日時点の数字は、全体が68,488人、技能実習が9,323人でした。どちらも減っています。
入管庁の同じ公表では、国籍別の上位はタイ(10,260人)とベトナム(10,135人)で、ミャンマーは上位10か国に入っていません。

多人数を受け入れる会社ほど、1人の欠員が重くなる
この数字が経営に関わるのは、欠員が出たときの穴の大きさです。
弁当・惣菜工場や客室清掃では、実習生を前提にシフトを組んでいる会社が多くあります。10人で回しているラインから1人抜けると、残りの9人と日本人社員の残業で埋めることになります。
技能実習では、いなくなった人の代わりをすぐ入れることはできません。次の人を迎えるには、面接から入国まで改めて時間がかかります。
もう一つ、寮の運営にも響きます。1人が抜けても家賃や光熱費の契約はそのままです。
実習生がいなくなる前に、会社が見ておく3つのこと
実習生がいなくなる理由は一つではなく、数字からは読み取れません。ただ、現場で見ていると、配属直後の数か月に「相談先が分からない」状態が続くことが、つまずきの入口になりやすいと感じています。
受け入れ企業が今週確かめられるのは、次の3つです。
- 連絡先を紙で渡してあるか。 会社名と電話番号、本人の住所、監理団体の母国語の相談窓口。来たばかりの実習生は、通話できる電話を持っていないこともあります
- 寮の外で暮らす人を把握しているか。 家庭の事情で別居している人は、生活の様子が見えにくくなります
- 監理団体が月に何回来ているか。 技能実習法の施行規則では、第1号技能実習の間は監理団体の役職員が月1回以上、実習実施者を訪ねて指導することになっています
当組合の入国後講習でも、会社の名前と電話番号、自分の住所を紙かスマホのメモで持ち歩くように教えています。教室では簡単そうに見えますが、教えないと持ち歩きません。

監理団体の巡回で見ていること
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、巡回を「制度の確認」だけで終わらせないことにしています。
自転車の乗り方や道路の渡り方を、配属直後は特によく教えます。母国と交通ルールが違うので、この時期がいちばん危ないからです。
配属後に、送り出し機関の先生も入れてオンライン面談をすることもあります。監理団体・日本語学校・送り出し機関の3者で様子を見る形です。
「日本に慣れた」「日本人ともうまくいっている」と話す人がいる一方で、反応の薄い人もいる。
面談では、この「反応の薄さ」を見逃さないようにしています。言葉にしない人ほど、困りごとを一人で抱えやすいからです。巡回の報告は、ミャンマーの日本語学校の先生方にも共有しています。
2027年4月の育成就労で、何が変わるか
現時点の情報では、2027年4月1日に始まる育成就労制度では、一定の条件を満たせば本人の希望による転籍(勤め先を変えること)が認められます。入管庁の「育成就労制度Q&A」(2026年10月15日更新)でも、転籍の条件が示されています。
技能実習では、原則として本人の希望で勤め先を変えることはできません。転籍ができないことが失踪の背景の一つだと、国の有識者会議でも指摘されてきました。
育成就労では、これまで「いなくなる」形で表に出ていた不満が、「転籍の申出」という形で出てくることになります。会社にとっては、人が離れる理由が今より見えやすくなるとも言えます。
だからこそ当組合では、育成就労を待つ会社にも、技能実習で受け入れ中の会社にも、同じことを案内しています。配属直後の相談先と、巡回で話を聞く仕組みを先に整えることです。
詳細は政省令や運用要領で変わることがあるため、入管庁の最新の情報もあわせてご確認ください。
次に確かめる1点と、相談の窓口
まず確かめるのは、いま受け入れている実習生全員が、困ったときの連絡先を紙で持っているかです。
今の監理団体の巡回の回数や相談の体制が、自社の受け入れ人数に合っているか気になる会社は、「監理団体乗り換え診断」をご利用ください。
ご相談のときは、業種・受け入れ中の人数・在留期限の近い人の時期を教えてください。当組合からは、巡回と相談の体制の比べ方と、乗り換える場合の日程の目安をお返しします。
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