工場が地震で止まったら、技能実習生は他で働けるか
工場が地震で止まったとき、技能実習生を別の会社や別の作業で働かせることは、通常はできません。ただし令和8年熊本地震(2026年7月28日発生)の被災地では、1日8時間以内・最長3か月の資格外活動許可を出す特例が動いています。2026年10月2日には、出入国在留管理庁・厚生労働省・外国人技能実習機構が連名で実習実施者と監理団体に通知を出し、3つの条件を満たせば技能実習計画の変更手続を省けると示しました。
三重県や東海の工場に、この特例がそのまま当てはまるわけではありません。それでも、自社が止まったときに何が起きるかを具体的に確かめられる材料です。
10月2日の通知で何が変わったのか
特例そのものは、入管庁がすでに始めていたものです。資格外活動許可とは、在留資格で認められた活動のほかに、収入を得る活動をするための入管の許可のことです。
入管庁のページによると、対象は次の両方に当てはまる人です。
- 今回の地震で災害救助法が適用された市町村に住んでいて、就労の在留資格を持っている(技能実習生を含む)
- 地震が原因で3か月を超えない範囲で本来の仕事ができず、その後は元の会社で活動を再開する見込みがある
認められるのは1日8時間以内の就労で、風俗営業などは除かれます。期限は許可日から3か月か2027年1月27日の、どちらか早い日までです。
申請は地方出入国在留管理官署の窓口のほか、郵送やFAXでも受け付けています。必要なのは、申請書、所属機関が作る状況説明の文書、旅券と在留カードの写しです。
10月2日の通知が新しく示したのは、技能実習計画の扱いです。実習を中断して他で働けば、実習の終わりの日が後ろにずれます。通常は「技能実習実施困難時届出書」を出し、再開のときに計画の変更認定の申請か軽微変更の届出をします。
通知は、次の3つをすべて満たす場合、この届出と変更手続を不要としました。
- 特例措置による資格外活動を行うこと
- 変更後の実習計画の終期が、当初の終期から3か月を超えないこと
- 元の実習実施者の下で技能実習を再開すること
1つでも外れると、通常どおりの手続に戻ります。再開が3か月より後ろにずれる場合や、元の会社に戻らない場合がこれに当たります。

いつまで、誰が使えるのか
特例の期限は2027年1月27日です。予定した期間内に事業所の復旧が終わらないなど、やむを得ない事情があれば、再度の許可を受けられます。再申請は本人のほか、所属機関(技能実習生は監理団体、特定技能は登録支援機関を含む)からもできます。
あわせて知っておきたい扱いが2つあります。
1つは復旧作業です。入管庁の熊本地震特設ページ(2026年7月掲載)では、被災した事業所の技能実習生が瓦礫の片付けなどの復旧作業をする場合、当面は資格外活動許可が不要とされています。事業所の敷地と周辺の道路も範囲に含まれます。
もう1つは在留期間です。入管庁の2026年8月7日の案内では、災害救助法の適用区域に住む人のうち、在留期間が2027年1月26日までに満了する人は、満了日が2027年1月27日まで延びています。更新の時期と被災が重なっても、すぐに在留資格を失うことはありません。

三重の工場は何を確かめておけばよいのか
熊本以外の会社がまず押さえておく点は、この扱いがあくまで特例だということです。
技能実習生は、認定された計画の会社・作業でしか働けません。工場が止まったから知り合いの会社で働いてもらう、という対応は平時にはできません。今回の扱いは、災害ごとに国が出すものです。令和6年能登半島地震のときも、入管庁は在留諸申請の特別な取扱いを案内しました。次の災害で同じ内容になるかは、そのときの発表を待つことになります。
平時に確かめておけるのは次の3点です。
まず、連絡と居場所です。申請には旅券と在留カードの写しが必要で、会社が状況説明の文書を作ります。全員の緊急連絡先、住んでいる場所、在留カードの写しがすぐ出せる状態かを見てください。
当組合の巡回でも、寮で集団生活をしていない人は生活面が見えにくく、特に気にかけています。災害のときに安否の確認が遅れやすいのも同じ人たちです。5人、10人と受け入れている工場ほど、寮にいる人と別に住んでいる人を分けて把握しておく必要があります。
次に、止まっている間の賃金と寮です。地震による休業で休業手当(労働基準法第26条)が必要かどうかは、個別の事情で判断が分かれます。休業が決まった時点で労働基準監督署に確認してください。寮が使えなくなった場合の仮の住まいも、人数が多いほど手当てに時間がかかります。
最後に、監理団体と連絡がつくかです。特例の申請も、実習計画の扱いの確認も、監理団体を通じて進みます。休日や夜間の連絡先を担当者が知っているかを確かめてください。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では、災害で実習が止まったときは、元の会社で再開することを前提に動くべきだと考えています。今回の通知でも、手続が省けるのは3か月以内に元の会社で再開する場合に限られています。
次の一歩
実習生の緊急連絡先、住所、在留カードの写しを、1枚にまとめて出せるか確かめてください。まとまっていない場合は、契約している監理団体に作成を相談できます。
三重県・東海地方で、災害時の連絡体制や複数名の寮の組み方を受け入れ前に相談したい場合は、MOOZ事業協同組合(三重県津市)で受け付けています。受け入れは2名からです。相談の際は、受け入れ予定の人数と、寮の場所(工場からの距離)を伝えてください。
MOOZ公式サイト