技能実習の認定取消し754社、過半は売上5億円未満
認定取消しを受けているのは、どんな会社なのか。東京商工リサーチが2026年10月1日に公表した調査によると、技能実習計画の認定を取り消された会社は、現行制度が始まった2017年11月からの累計で754社です。売上高が分かる552社のうち300社(54.3%)は5億円未満でした。取り消されると5年間は新しい認定を受けられないため(技能実習法第10条・第16条)、これから取消しを受けた会社は、2027年4月に始まる育成就労でも受け入れが難しくなる見込みです。
754社の内訳は、製造と建設で7割
東京商工リサーチは、厚生労働省などが公表してきた取消し企業754社のうち、自社のデータベースで確認できた660社を分析しています。数字はすべて同社の2026年10月1日の公表によります。
産業別では製造業が255社(38.6%)、建設業が214社(32.4%)で、この2つで71.0%を占めます。細かい業種で見ると、とび工事業51社、土木工事業38社に続いて、衣服裁縫修理業が35社で3番目でした。
地域では関東134社、中部124社の順です。都道府県別は愛知県46社、大阪府42社、広島県41社、愛媛県37社、東京都28社。三重県の数は公表された記事には載っていません。
年度別では2021年度の177社が最多で、2026年度は4月から8月までに50社が公表されています。同社は前年度と同じ水準のペースとしています。
取消しを受けた会社のうち24社は、その後に休廃業または解散しています。

取り消されているのは大手ではなく、小さな会社
売上高が分かる552社を見ると、1億円未満が115社、1億〜5億円未満が185社です。合わせて300社、54.3%になります。売上高100億円以上の会社も38社ありますが、中心は中小企業です。
MOOZ事業協同組合(三重県津市)では実習生を2名から受け入れています。そう伝えると、驚かれることが多くあります。5名からという組合が多いためです。2名、3名で受け入れる会社は、今回の調査で過半を占めた規模の層と重なります。
この規模の会社では、実習生の書類、賃金、寮、通院の付き添いまでを、総務や工場長が本業と兼ねて1人で見ていることが珍しくありません。大きな会社なら労務・安全・総務で分かれている確認が、1人の頭の中にあります。その人が忙しい月、休んだ月に、確認が抜けます。
取消しの理由について、今回の調査は内訳を示していません。直近の例として、厚生労働省と出入国在留管理庁が2026年9月29日に公表した16者の処分では、実習生の人権を著しく侵害する行為が5者、労働安全衛生法違反の罰金刑が4者、計画どおりに実習を行わせていないものが2者などでした。帳簿の書き方の誤りといった話ではなく、現場で起きたことが理由になっています。

取り消されると、いつまで受け入れられない?
認定の取消しとは、国が実習計画に出した認定を取り下げる処分です。その計画で働いていた実習生は、その会社で実習を続けられません。
技能実習法第10条は、取消しの日から5年を経過しない者は新しい認定を受けられないと定めています。仮に2026年10月に取り消されると、2031年10月までです。
特定技能に切り替える道も閉じます。特定技能の受入れ機関の基準(特定技能基準省令)に、実習認定の取消しから5年を経過しない者を欠格とする規定があるためです。
育成就労は2027年4月に始まる予定で、この5年の内側に入ります。現時点の情報では、育成就労法にも計画認定の欠格事由が置かれています。細部は政省令で変わりうるので、入管庁の最新情報で確かめる必要がありますが、当組合は「技能実習で取り消されても育成就労で入れ直せる」とは案内していません。
2名の会社でも20名の会社でも、5年という長さは同じです。違うのは空く穴の大きさで、夜勤と日勤の両方に実習生が入っている食品工場や、フロアごとに配置している介護施設は、全員分のシフトが一度に空きます。
担当者が1人の会社が、今月やること
1つ目は、実習計画の写しを担当者以外も持つことです。社長と工場長がそれぞれ1部。計画に書いた作業と賃金を、現場を動かす人が知らないまま、繁忙期に別の作業へ回してしまうのがいちばん起きやすい形です。
2つ目は、賃金の突き合わせです。この秋は最低賃金の改定があります。計画に書いた賃金、雇用条件書、今月の給与明細の3つを並べて、ずれがないかを見ます。実習生の人数分、全員です。
3つ目は、監理団体の監査の使い方です。監理団体は3か月に1回以上、実地で監査を行うと決まっています(技能実習法施行規則第52条第1号)。監査の日に担当者だけが応対して終わる会社と、工場長が同席して現場を一緒に回る会社では、指摘が届く速さが違います。次回の監査日を確かめて、工場長の予定を入れておいてください。
記録に不備が見つかった場合は、直してから見せるのではなく、不備があると分かる状態のまま監理団体に先に相談してください。9月29日の処分では、機構の職員に虚偽の帳簿書類を示したことで認定を失った会社が1者ありました。
三重県・東海地方で、実習生の管理を1人の担当者に任せている工場・宿泊施設・介護施設の方は、実習計画の写しと直近3か月分の賃金台帳を手元に置いて、MOOZ事業協同組合(三重県津市)までご相談ください。これから受け入れる会社は、受け入れ人数と、誰が実習生を担当するかが決まっていれば、話が進みます。連絡先は MOOZ公式サイト にあります。