育成就労の施行日前申請が開始|受け入れ企業が今やるべきこと
育成就労の施行まで約半年|この記事で答える疑問
この記事は、技能実習生を受け入れている企業や、これから外国人材の受け入れを考えている企業の経営者・人事担当者の方に向けたものです。「今の技能実習はいつまで使えるのか」「新しい育成就労制度の申請はもう始まっているのか」という疑問に、出入国在留管理庁(入管庁)と外国人技能実習機構(OTIT)の公表資料をもとにお答えします。
先に結論をお伝えします。
- OTITで、育成就労計画の「施行日前申請」の受付が2026年9月1日から始まっています。案内ページは9月8日に更新されました。
- 技能実習で新しく受け入れる場合、OTITは1号技能実習計画の認定申請を「令和9年2月までに」行うよう呼びかけています。
- 入管庁は9月9日に有識者会議を開き、議題に「特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正に向けた作業開始」が入りました。
育成就労制度は、一部の規定を除き2027年(令和9年)4月1日に施行される新しい制度です。この記事の内容は現時点の情報によるもので、詳しいルールは今後の政省令や運用で変わる可能性があります。最終的な判断の前に、入管庁の最新情報をご確認ください。
9月7日〜14日の主な発表(入管庁・OTIT)
この1週間に出た、受け入れ企業に関係する主な発表をまとめます。
| 日付 | 発表元 | 内容 | 企業への関係 |
|---|---|---|---|
| 9月7日 | OTIT | 育成就労制度:キルギスの暫定送出機関リストを公表 | 国ごとに送出機関リストの公表が進んでいる |
| 9月8日 | OTIT | 「育成就労計画認定施行日前申請」の案内ページを更新 | 新制度の計画申請に関する最新の案内 |
| 9月9日 | OTIT | 育成就労制度:スリランカの認定送出機関リストを公表 | 同上 |
| 9月9日 | 入管庁 | 第14回「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」を開催 | 分野別運用方針の改正に向けた作業開始が議題に |
| 9月10日 | 入管庁 | 「特定技能制度に関するQ&A」にQ102を追記 | 2号特定技能の誓約書の要件について見直しを検討中 |
9月10日のQ102は、2号特定技能の在留手続きで出す「業務内容に関する誓約書」についてのものです。入管庁は「指導対象者の考え方を含め、内容の見直しを検討していますので、整い次第速やかにお知らせします」と回答しています。2号特定技能への移行を考えている企業は、続報を確認しておくと安心です。
以下では、特に影響の大きい2つの動きを詳しく見ていきます。
ニュース1:育成就労計画の「施行日前申請」が始まりました
どんな手続きか
育成就労制度では、受け入れの前に「育成就労計画」の認定を受ける必要があります。OTITは、制度が始まる前から計画を申請できる「施行日前申請」の案内ページを公開しています。受付は2026年9月1日から始まり、「9月1日以降に到着するように送付してください」と案内しています。
案内ページには、次の資料がまとめて掲載されています。
- 施行日前申請のリーフレット、認定申請手続きのリーフレット
- 提出書類一覧・確認表(単独型・監理型)
- 施行日前申請のフローチャート
- 育成就労制度運用要領 第4章、よくあるご質問
- 手数料の支払方法(ペイジー払い・払込票)の案内
問い合わせ先として、施行日前申請コールセンター(0570-011-300、平日9時〜17時)も案内されています。
案内ページに書かれている主な注意点
OTITの案内ページでは、次の点に注意するよう書かれています。
- 分野別協議会への加入:各育成就労産業分野の分野別協議会への加入が義務になっています。
- 送出国の推薦状:二国間取決めの対象国(インドネシア、カンボジア、キルギス、ベトナム、ラオス)から来る人については、申請のときに送出国の公的機関の推薦状が必要です。
- 分野ごとの上乗せ基準:分野によって追加の要件(上乗せ基準)があるため、確認が必要です。
「制度が始まってから考えればよい」ではなく、自社の分野の協議会や上乗せ基準を今のうちに確認しておくことが大切です。
ニュース2:9月9日の有識者会議で「分野別運用方針の改正」に向けた作業開始
入管庁は2026年9月9日、第14回の有識者会議を開きました。公表された議事次第によると、議題は次の4つです。
- 分野別運用方針に係る閣議決定について(報告)
- 令和7年度有識者会議のフォローアップについて(報告)
- 特定技能制度及び育成就労制度の分野別運用方針の改正に向けた作業開始について
- 特定技能「外食業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について(報告)
分野別運用方針は、2026年1月23日に閣議決定されたばかりです。入管庁のページによると、育成就労の対象分野は介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の17分野です。航空と自動車運送業には、育成就労の分野は設けられていません。
今回の会議で、この方針を改正する作業が始まったことになります。議事要旨・議事録は「追って掲載予定」とされており、何がどう変わるのかは、現時点で公表資料から確かめられる範囲が限られています。この記事では変更の中身を予想せず、続報を待ちます。
なお、食品工場の方から「外食業の停止は自社に関係あるか」と聞かれることがあります。弁当・惣菜・水産加工などの「飲食料品製造業」は、「外食業」とは別の分野です。ただし、どの分野にも上限や運用の見直しはありうるため、自社の分野の最新情報を確認してください。
技能実習はいつまで使える?経過措置のポイント
受け入れ企業にとって一番大事なのは、「技能実習で受け入れを続けられるのはいつまでか」です。入管庁の「育成就労制度Q&A」とOTITの案内をもとに、現時点の情報を整理します。
| ケース | 現時点の情報での扱い | 出典 |
|---|---|---|
| 2027年4月1日の時点で来日している技能実習生 | 認定済みの計画に沿って実習を続けられる。1号から2号への移行も可能 | 入管庁Q&A |
| 2027年3月31日までに1号技能実習計画の認定を申請した場合 | 原則として施行日から3か月以内(2027年6月30日まで)に実習を始めれば、技能実習として受け入れ可能 | 入管庁Q&A(Q31) |
| 1号技能実習計画の申請時期の目安 | OTITは「令和9年2月までに」申請するよう呼びかけ | OTIT |
| 3号への移行 | 施行日の時点で、2号の実習を1年以上行っていることが必要 | 入管庁Q&A |
| 受け入れ人数枠の計算 | 経過措置で実習を続ける1号・2号の実習生も、育成就労外国人の数に含めて数える | 入管庁Q&A |
法律上の申請期限は2027年3月31日ですが、OTITは「2月まで」と早めの申請を呼びかけています。面接、健康診断、計画の準備には時間がかかります。2027年前半の受け入れを考えている企業は、今から日程を逆算しておくと安心です。
育成就労制度の基本(現時点の情報では)
あらためて、育成就労制度の基本を入管庁のQ&Aから確認します。
- 期間:「原則3年間の就労を通じた人材育成を行う」制度です(Q11)。
- 日本語能力:働き始める前に「日本語能力A1相当以上の試験に合格すること」が求められます(Q56)。
- 本人の希望による転籍:分野ごとに決められた一定水準の技能と日本語能力を身につけていること、転籍制限期間を過ぎていることなどが条件です(Q48)。
- 監理団体の扱い:監理団体が育成就労制度の業務を行うには「新たに監理支援機関の許可を受ける必要があります」とされています。OTITでは、監理支援機関の許可の施行日前申請を2026年4月15日から受け付けています。
技能実習とくらべて、「転籍」ができるようになる点と、監理団体が「監理支援機関」という新しい許可に変わる点が、企業にとって大きな違いです。
企業が今やるべきこと
今回の発表を受けて、受け入れ企業が今のうちに進めておきたいことをまとめます。
-
受け入れ時期を決める
「2027年6月30日までに技能実習として実習を始める」のか、「育成就労制度で受け入れる」のかで、準備の中身が変わります。 -
技能実習で受け入れるなら、2027年2月から逆算する
OTITの呼びかけに合わせて、面接や計画準備のスケジュールを早めに監理団体と相談しておきましょう。 -
取引先の監理団体に「監理支援機関の許可」の準備状況を聞く
新制度の業務には新しい許可が必要です。制度が変わった後も続けて相談できるか、確認しておくと安心です。 -
自社の分野の「分野別協議会」と「上乗せ基準」を調べる
OTITの案内では、協議会への加入が義務とされています。 -
今いる実習生の移行計画を見直す
3号への移行には「施行日の時点で2号の実習を1年以上」という条件があります。特定技能への移行も含めて、一人ひとりの計画を確認してください。 -
公式情報を定期的に確認する
入管庁の有識者会議のページ、OTITのお知らせ、育成就労制度のページをブックマークしておくと、変更に気づきやすくなります。
よくある質問
Q1. 今いる技能実習生は、2027年4月以降どうなりますか?
入管庁のQ&Aによると、2027年4月1日の時点で来日している技能実習生は、認定済みの計画に沿って実習を続けられ、1号から2号への移行もできます。3号へ移行するには、施行日の時点で2号の実習を1年以上行っていることが必要です(現時点の情報です)。
Q2. 育成就労計画は、もう申請できるのですか?
OTITは、育成就労計画の施行日前申請を2026年9月1日から受け付けています。分野別協議会への加入や分野ごとの上乗せ基準などの注意点があるため、OTITの案内ページと提出書類一覧・確認表で必要書類をご確認ください。
Q3. 今の監理団体のままで大丈夫ですか?
監理団体が育成就労制度の業務を行うには、新たに監理支援機関の許可が必要とされています。取引先の監理団体に、許可の準備状況を確認しておくことをおすすめします。
Q4. ミャンマー人材は育成就労で受け入れられますか?
2026年9月14日の時点で、OTITの育成就労制度の送出機関一覧にミャンマーは載っていません。当組合が得ている情報では、10月以降に日本とミャンマーの間で二国間の協議が予定されていると聞いていますが、現時点で官公庁からの公式発表はなく、日程や結果は変わる可能性があります。今後の入管庁・OTITの公表をご確認ください。技能実習の経過措置の期間内での受け入れについては、個別にご相談ください。
Q5. 特定技能「外食業」の停止は、食品工場にも関係しますか?
弁当・惣菜・水産加工などの「飲食料品製造業」は、「外食業」とは別の分野です。ただし分野ごとの運用は見直されることがあるため、入管庁の最新情報をご確認ください。
まとめ
- OTITで、育成就労計画の施行日前申請が2026年9月1日から始まりました(案内ページは9月8日更新)。
- 技能実習で受け入れるには、原則として2027年3月31日までに1号技能実習計画を申請し、6月30日までに実習を始める必要があります。OTITは「令和9年2月まで」の申請を呼びかけています。
- 9月9日の有識者会議で、分野別運用方針の改正に向けた作業が始まりました。変更の中身は今後の公表を待つ段階です。
- 監理団体は、新制度の業務を行うために監理支援機関の許可が必要になります。
- 育成就労制度は新しい制度のため、ここに書いた内容は現時点の情報です。今後の政省令や運用で変わる可能性があります。
制度の切り替え期は、情報が多く判断に迷いやすい時期です。MOOZ事業協同組合(三重県津市)は、ミャンマー人材を専門とする監理団体です。現地の送り出し機関と連携して日本語教育を行い、食品製造、介護、縫製・電子部品組立、宿泊・クリーニング、溶接・自動車部品などの分野で受け入れを支えています。受け入れは2名から、特定技能の支援はグループ企業の株式会社NADy(登録支援機関)が担当します。
「自社の場合、技能実習と育成就労のどちらで準備すべきか」「いつまでに何を始めればよいか」など、経過措置のスケジュールに合わせた手続きのサポートや必要書類のご案内について、お気軽にご相談ください。
▶ MOOZ事業協同組合 公式サイト:https://mooz-gr.jp